黒バス

□突然のキス
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いつも、焼きもち焼くのは私の方。


突然のキス〜木吉編〜



別に彼が浮気性だとか、
女友達が多いとか、
何か隠し事を持っているとか、
そうゆうのではない。

ただ、彼は優しいのだ。


(………あ)

一緒に帰ろうと先輩の教室に向かうと
ドアのところで先輩の姿を発見した。
女の子と楽しそうに話してる。
相田先輩ではなさそうだ。

(ダメだな、私)

最近ようやく相田先輩と木吉先輩が一緒に帰っていても、仕方ないって我慢できるようになったのに。
他の女性には慣れてないみたい。
私の胸の中でどろどろと嫌なものが広がっていく。
嫉妬、なんて。

『ちょっと鉄平!迎えが来てるわよ!』

聞き覚えのある声が耳に入りハッとする。
相田先輩が腕を組んで、私を指した。

『可哀想でしょ、早く帰ってあげなさいよ!』

『あぁ、スマンスマン』

彼は鞄を持って私のところへくると“来てたなら言ってくれよ”と、いつもと変わらない笑顔を見せた。
相田先輩に感謝の言葉と軽いお辞儀をして、私は先輩の教室をでた。





『なんでいつも言ってくれないんだ?』

帰り道、先輩から先程のことを質問され、私はウッと口をつぐんだ。
どう言えばいいか分からなかった。
あれが嫉妬なのは自覚してはいるものの、正直に言ってもいいのだろうか。

『えーっと……』

『俺が迎えに行くって言ってるのに、こっちの教室に来てくれるし…。
早く来たかと思ったら俺が気づくまで何も言わずに待ってるだろ?』

『それは、そのー…』

『上級生の教室で入りにくいのは分かるが…一声かけてくれれば』

『違うんです違うんです!』

私は立ち止まり、先輩の目を見て話そうと首をうんと高く上げて話した。

『先輩、他の女の子達と話してるから…。お邪魔しちゃ悪いと思って!』

一呼吸して言葉を繋げる。
先輩はきょとんとして私を見ていた。

『先輩、優しいから…きっと頼りにしている女の子も多いと思うんです!なのに私がそれを邪魔しちゃうのは申し訳ないかなって。もちろん、先輩が他の女の子とお話ししてるのはあまり好ましくはないんですけど!そう思ってしまう自分も嫌で!でもだからってお話の邪魔をしちゃうのは……!』


グイッと腕を引かれて数十秒。
私は何が起きたか分からなかった。
気づいたときには先輩の顔が近すぎるほど目の前にあって。
そう、唇が重なっているときだった。

『ーーー!?!??!』

『……あ、スマン。あまりに必死に話してるからつい』

嫉妬とか、もうそんなこと言ってられなかった。
明らかに人目があるところでされたせいで、恥ずかしさがMAXにまで上昇。
きっと顔が真っ赤になっているにちがいない。
先輩は謝るのと同時にこう話した。

『やっぱり今度から俺が迎えに行くよ。君にそんな辛い思いさせたくないしな』

『……うぅ』

そう言って私の頭を撫でてくれる先輩。
もう返す言葉すら思いつかなかった。


この時はまだ、先輩が嫉妬するなんて全く想像つかなかった。


(っていうか、さっきの反則だろ)(な、何がですか?)(上目遣い、とか)(へ?!そ、そうゆうつもりでやったわけじゃ…!?)
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