ボカロ
□愛されミク番外編!
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一体これはどうゆうことでしょう?
『………あ、あ…やぁ!』
彼女はなにをされてるのでしょうか。
『だめ、そこ、ダメェ……』
『ここだろ?可愛いな君は……』
『んん!』
『このまま俺と付き合わないか?損はさせねぇぜ?』
なんですと?!
扉を蹴る破壊音が教室に響いた。
『んなことさせるかあぁ!リントオオォオオオ!!』
『……チッ』
俺は今、一ヶ月前に遊びに来た彼の監視で大忙しである。
『そっか!リンちゃんとレンくんの従兄弟さんなんだぁ?』
ミクはポンと手を叩くと、納得したように首をうんうんと縦に振った。
『そう。一ヶ月前から俺んちに滞在しててさ』
ミク姉に説明すると俺はキッと奴を睨む。
『今日俺の制服がないと思ってリンに聞いたら……お前が着てったって。しかもミク姉にこんなことして…どうゆーつもりだよ!』
『ミクちゃんって言うんだね。よろしく』
『人の話を聞け!あと勝手にミク姉に触れんな!!』
きょとんとした様子のミクと握手をするとリントはにこっと笑った。
『挨拶だよ、挨拶。ちょうど可愛い子がいたからマッサージをしたくなってね』
『どんな挨拶だよ……』
『でも君がミクちゃんで良かった。用があったんだ』
さっきから完全に俺を無視している。
こいつはいつもそうだ。
身長が少し高いからって同い年なのに俺を子供扱いするし。
そしてこいつは女には手が早い。
会う度に従姉妹のリンも口説いているほどだ。
(こいつ、ミク姉に用ってことはミク姉を口説く気だな…)
先に言っておくが、俺はミク姉に片思いなんてことはしていない。
俺は大の巨乳好きだし、メイコ先生の下着を奪うことを趣味としている。
だからお椀型のミク姉は範囲外だ。
リントがミク姉の手を握り締めクスッと笑った。
『俺とひとつになろう?』
『!!!?!!!?』
思わず持っていた鞄を投げつけた。
リントは交わすふりをして、ミクを押し倒す。
『キャッ!』
『おっと、ごめんね……』
『…!?い、あの、あの、手…』
『んー?』
リントの手がミク姉の胸の上に。
それも体重を乗せて鷲掴みしている状態だ。
俺はすかさず奴をミク姉から引き離した。
『な、なななに言ってやってんだ!!!』
『えー?君の鞄をよけたらこうなっちゃったんだよ』
『お前が変なこと言うからだろッ!!!』
結局その場ではそれ以上のことは起こらなかったが、ミクは顔を赤くしながら帰って行った。
俺は仕方なく奴と帰ったが、もちろん奴を叱った。
『初対面でミク姉になにしてんだよ。ミク姉、顔色悪そうだったじゃねえか』
『そうか?あの初々しさがたまらないな。真っ赤になっちゃうとこ…超ウブって感じ』
『こらッ!まさかリンに引き続き、ミク姉にまで手を出そうとしたら許さねえぞ!』
『………。』
リントの足がぴたりと止まった。
不思議に思ったレンも足を止め、振り返る。
なにかぼそぼそと呟いていた。
『……って、…じゃないか』
『あ?』
『お前だってやったじゃないか!!!』
『はあぁあ!?』
顔を上げリントが指を指すと、レンは大声を否定した。
『何言ってんだ!俺がいつミク姉に手をあげたって言うんだ!!?』
『しらばっくれんなよ。俺は知ってるんだぜ?お前が水着姿のミクちゃんに手をだしたことはよぉ!』
『はいぃぃぃい!?』
レンは真っ赤になりながら殴りたくなる衝動を抑えながら、記憶を整理してみた。
心当たりがない、わけではない。
だが、あれはミク姉との二人っきりの秘密のはず。
リントはにやりと笑った。
『あんな可愛い子、周りが放っておくはずねぇだろ。まさか巨乳好きのお前まで手をだしてるとは思わなかったがな』
『てめえ、その情報はどこから…!』
『フン、教えるかよ。お前と俺は敵だ。この争奪戦、俺も参加させてもらうぜ』
リントはレンに向かって宣言すると、余裕そうな笑みを浮かべ帰っていった。
レンはただ黙って下唇を噛むことしかできなかった。
(俺は、ミク姉のことが好き…?)
ぶんぶんと首を横に振る。
どこか胸の奥でしまい続けてきた気持ち。
ミク姉とは秘密を守る、それだけの関係だと言い聞かせてきた。
だが、それならどうして口説いていたリントを見てイラッてきたのだろう。
どうして止めに入ったのだろう。
自分の気持ちが上手く表現できないことに徐々に苛立ちを覚えながら、レンはその場を去った。