ボカロ
□君のオイル
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きっと覚えてないだろう。
君が俺のために使ってくれたオイル。
それはもう食べてしまったのだけれども。
君のオイル
『ミク姉ってどうしてこんなにつやつやなん?』
『え?』
リビングで一家団らんの時間を過ごしていたときに、リンが姉のミクの髪に触れ、そう言った。
『つやつや、かな?』
『すっごくつやつやだよ!光沢がある!こんな長い髪なのに…凄いよね?レン?』
『なんで俺にフるんだよ』
ソファで寝転がっていた弟は遊んでいたゲームを止めることもなく、淡々に答えた。
『まぁ、すごいんじゃね?リンみたいな髪と違って洗うの大変そうだし』
『それってどうゆうこと!?私のが大変そうに見えないって事?』
『事実そうじゃん』
『ちゃんとやってるわよ!シャンプーにリンスにドライヤー。朝は寝癖直しにシュッと…』
『それ、普通だから。俺もやるから、女じゃなくても』
二人は話している姿を見て、ミクはくすくす笑っていた。
二つに分けられツインテールで日中過ごしているミクの髪は、見た目どころか手触りも良い。
同じ女の子であるリンが興味を示すのも無理はない。
ミクはその場から立ち上がり、自分の棚から小瓶を取り出した。
『これのおかげだよ!』
『なぁにソレ?』
ミクが手にしている緑色の小瓶の中にはなにやら液体が入っている様だ。
ルンルンした口調でミクは語る。
『これは“ねぎオイル”って言ってね、髪をつやつやにする成分がいっぱい入ってるんだよ!』
『ええ!?ほんと!?』
『んなわけなーだろ!!!』
感動しているリンにすかさずレンがつっこむ。
『髪をつやつやにするならまず!自分の好きなものが入ったオイルとかクリームを塗らないと!そうしないとちゃんと吸収してこれないのだ!』
小瓶をすりすりするミク。
実はあれはメイコ姉のヘアオイルであることは俺と持ち主のメイコしか知らない。