頂き物

□お父さん………
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ピーーーー……。
 
「ご臨終です」
「う………嘘だ………嘘だろ……亜季奈…亜季奈ぁあ!!」
 
冷たい機械音と、医者の声と、お父さんの叫び声。
それと、白いベッドに横たわるお母さん。
アタシ―青柳 由希には意味が分からなかった。
 
『三年二組、青柳さん。至急、職員室に来て下さい!繰り返します………』
 
いきなり放送が流れて、急いで職員室に行ったら叔母さんがいて、車に乗って、病院に来て……。
くるっと、お父さんがアタシの方を向いた。
お父さんの目に、涙が貯まっている。
 
「由希!」
 
そう言って、お父さんはアタシを抱き締めた。
 
「由希……由希………由希ぃ……」
 
お父さんは、アタシの名前を何回も呼ぶ。
 
もしかしたら、この時から狂ったのかもしれない。
 
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