単話

□貴方だけが
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貴方は気づいていないだろうけど








俺は貴方に救われていたんだ











どんなに辛くても、それは自分で決めたことだから







けれど、やっぱり苦しいと思ってしまうときがある











あの世界で小狼と思われて石を投げつけられたとき




姫が俺を避けていたとき









……苦しかった










けれど、貴方だけは俺は俺だと、『小狼』だと見てくれた














凄く、嬉しかった…















『ありがとう』





どのくらいぶりだろう。
こんなに自然に心から礼を言えたのは












そのぶっきらぼうな優しさが俺の孤独を和らげてくれていた……









そしていつからか


俺は貴方に対して仲間以上の感情を抱くようになっていた




全く、ほとほと自分に呆れてしまう


こんな気持ち、迷惑にしかならないというのに





それでも、気が付けば目で貴方を追ってしまう自分がいる









好きで堪らない


心が貴方を求めてしまう









この気持ちを伝えてしまったら、もう貴方に近づけなくなってしまうのだろうか












そんなのは嫌だ




俺のせいで貴方を困らせたくない












この想いは報われなくていい







ただ、少しでも近くにいられたら


それでいい










だから


この想いは俺の中に

閉まい込もう






END
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