単話
□君とキミ
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カチャリ───
サクラの部屋から出たファイは自分の部屋ではなく、違う部屋に向かった
コンコン──
「…はい」
カチャリ──
「貴方か…」
「まだ起きてたんだね」
そこにはベッドに座っている『小狼』がいた
ファイに警戒しているのがよく分かる
右目を通して、見てきたからこそ
小狼にファイが何をしていたのか、旅のメンバーの中で唯一知る者
ファイはクスッと笑うと『小狼』はベッドから立ち上がった。
…ファイから距離を置くために
「キミはいつもそうやって、俺から離れようとするよね」
「え…」
気付かれないように、さりげなく避けていたのだろうが……
そんなもの分かるに決まっているだろう?
小狼くんはそんなことしなかったのだから
ガシッと『小狼』の肩を掴むと後ろに押した
抵抗出来ずに『小狼』はベッドに倒れ、そのままファイは『小狼』に跨ぐようにベッドにのった
そこはね────
小狼くんの場所なんだよ?
キミの場所じゃない──
ファイは『小狼』の両手を顔の横に押さえつけると口づけをした
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