単話
□妬きもち
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「…ハァッハァ、ハァ…ハァ…」
小狼は絶頂の余韻で息を荒げていた
黒鋼は、優しく汗で顔に張り付いた髪を退かしてやり、キスをした
「…さっきのは、本当か?」
「…え…?」
「俺のこと、………好きだって」
黒鋼は本当なのか確認せずにはいられなかった。
それはとても嬉しかったから。嘘ではないと聞きたくて
…もう一度、言って欲しくて────
「…本当、です」
赤い顔を更に赤らめて小狼は言った
「!!黒、…鋼さん?」
黒鋼は小狼を抱きしめた。嬉しくて、嬉しくて、言葉に出来ないくらいに
「なら何故、俺を避けてた?」
耳元で聞こえる黒鋼の声に、おさまりかけていた心臓がまた早まった
「…避けて、ません」
「避けてただろうが」
「そんなつもりは……ありません」
「じゃあ、何で他の奴等と俺とで態度が違う」
諭すように黒鋼が問うと、顔を反らして小さな声で小狼は言った
「…好きだって…知られないように、して……でもどうしても、黒鋼さん…を前にすると、…緊張して」
だから、と続けられなかった。黒鋼が小狼の唇を塞いでしまったから
小狼は驚いたが、素直に受け入れた。
黒鋼の背に恐る恐る手を回すと、口づけが深くなった
俺もだ────
朦朧とした意識の中、黒鋼さんの声が聞こえた
夢じゃない
この幸せは本当だと
全身で
確かめるように
二人で
感じよう──────
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