単話

□歪んだ愛
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ドアを開けて中に入り、声をかける


「お待たせ。大丈夫?兄さん」

「…ああ。…多分……」











その日、兄さんは珍しく熱を出した

無理をして疲れが溜まったのだろう。いつも兄さんの笑顔はどこか疲れが滲んでいた

今日明日と休み

器用なのかなんなのか、休みの日になると普段の様子が嘘のように思えるくらい体調を崩していた


「俺って……便利だな。なんか、…凄くないか?…休みの…時だけ、こうなる」

「凄くないよ」


俺がそう言うと兄さんは荒い呼吸の中、はは、と笑った

熱のせいで顔が赤く、目がとろんとしている

なんだか普段より色っぽく見えた

持ってきた体温計を兄さんに渡し

「じゃ、水取り替えてくるね」

「………」

「兄さん?」

急に寂しげな顔になった兄の顔に戸惑った。こんな表情を今まで見たことがなかった

首を横に振り
「…悪いな。頼むよ」

そう言うと目を閉じた


「………」
















「っん?…」


急に唇に温かいものを感じ、目を開けた


(!!!!?)


弟の顔がすぐ目の前にあった


すぐに唇は離されたが、驚愕して目は見開いたまま弟を見た















「兄さん……」


俺は兄さんに口づけし、次は耳を嘗めた


「ひゃっ。っ小狼!?…」


兄さんが一瞬、嬌声をあげ感じたことが嬉しくてまた口づけをした

深く、深く───






「っふぅ、………は」


兄さんの力が完全に抜けたところで離した

口からどちらのものかも分からない唾液を流しながら息をあげる姿に悦びを感じた







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