単話
□せめて
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ボタンは全て外され、小狼の上半身があらわになった
それをじっと見下ろしたまま、小龍は動かない
「…に、兄さん……」
抵抗していたが、小龍の視線を恐く感じ、身動きを止めた
こんなの初めてだった
今まで兄のことをここまで恐いと感じたことはなかった
「っん」
今まで見下ろすだけだった小龍が、いきなり小狼に口づけをした
「んんっ」
しかも小龍の舌が口腔に入ってくる
小狼の舌を絡めとり、吸ったり、歯列をなぞったりする
「ふぅ…ん」
どちらのものか分からない唾液が小狼の口から流れた
小狼の息が苦しくなり始めたときに、やっと口が離された
銀色の糸が二人を結んでいた
「はぁ、っは……」
小狼は呼吸を整えようとするだけで精一杯
小龍その様子を黙って見ていた
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