華迪
□出逢い
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どうせ
貴方もあいつらと同じ
みんな、同じ
【1.出逢い】
ここは『花道』と呼ばれるところ
道の両脇にズラーッと店が並んでいる。
その全ての店は夜に一番の盛り上がりを見せる。
所謂、風俗店と呼ばれる店
◆◇◆
「…………はぁ…」
ガッシリとした体格の男が小さくため息を吐いた
来たくて来たわけではないのだから無理もない
黒鋼は元からこういうものが好きではない
ただ同僚に誘われ、何処なのか詳しく聞かされないまま来てみれば、ここ『花道』
………来なければ良かった
さっさと帰ってしまおう
黒鋼はそう結論を出した時に店の者がやってきた
「いらっしゃいませ。初めての方々でいらっしゃいますね」
恐らくここのオーナーだろう
「あ、はーい。」
黒鋼をここへ連れてきた人が待ってましたとばかりに返事をした
その人とオーナーで話をしているのを黒鋼は興味なさげに見ていた
「では、お客様こちらへ」
話が終わったのだろう
オーナーが手で先を示す
それに従い黒鋼らは歩き出した
「では、貴方はこちらへ」
少し歩き、黒鋼らはカーテンの手前で止められた
同僚は違うカーテンの方へ向かっていった
「お入り下さい」
オーナーは黒鋼に愛想よく笑いかけた
それを一瞥して黒鋼はカーテンの奥へと入っていった
◆◇◆
カーテンの奥へ入るとドアがあった
中に入るとそこはなかなか広い部屋だった
大きなソファー
風呂もある
ベッドは大きく2、3人でも余裕で眠れそうだ
一通り部屋を見回しながらさっきのことを思い出していた
同僚が別れる時に言った言葉
『とっておき、だから。楽しんでね♪』
……笑顔で
『とっておき』
なんだそりゃ
部屋がか?
確かに広い、があまり好きではないのが本音
コンコン───
「失礼します」
ドアがノックされ声がかけられる
「あぁ」
黒鋼が返事をすると先程のオーナーがドアを開けて入ってきた
一礼し
「お待たせいたしました」
そう言って横に一歩程ずれた
オーナーにかぶって見えなかった者が現れる
茶色の髪と同じ琥珀の瞳を持つ少年
「…小龍です」
これが、最初
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