単話
□あの頃の想い出
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「ふぅ……終わった……」
小龍は机にあるノートを見て呟いた
学校の宿題。
特にやることがなかったので宿題をやっていたのだが……
本当にやることがなくなってしまった
「……暇だな」
弟の小狼は出掛けていていない。親もだ
今家にいるのは小龍だけ
休みの日がくるのは楽しみなのだが、いざ休日になるとやることがない
今日は部活もないし
「…………ん、アルバム」
机に頬杖をついてボーッとしていた小龍の視線の先にはアルバムがあった
椅子から立ち上がり、本棚から出す
小龍はアルバムを広げて昔の写真を眺め始めた
家族でのもの
友達とのもの
小狼とのもの
様々な写真がある
「懐かしいな………」
微笑みながら呟いた
ガチャ カシャン──
「ただいまー」
夕飯の買い物で出ていた小狼が帰ってきた
「おかえり」
小龍はリビングに向かうとそこにいる小狼に言った
「兄さん、それ何?」
首を傾げる小狼に見えるよう前に傾ける
「アルバム」
「へぇ……見せて」
テーブルにアルバムを置いて二人で眺める
「あ、これ兄さんが転んだときのだ」
「あ………」
小狼が指した写真には泣いている幼い頃の小龍が写っていた
「兄さん俺より泣き虫だったよね」
「今では逆だよな」
「くっ……」
やはり小狼が負けた
∴