同居人は猫
□わからない事
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『…う、ん〜』
朝、起きてすぐのぼんやりとした視界に入って来たのは、ぴくぴくと動く黒い耳のようなもの。
「にゃ〜」
だんだんはっきり見えるようになってくると、蔵人の顔が目の前にあるのだとわかった。
『ん〜、おはよ、蔵人』
「にゃー」
私がそう言うと、蔵人は私の口元をぺろっと舐めてくる。
『くすぐったい』
蔵人が私の家に来てから数日が経った。
こうして朝起きて目の前に蔵人の顔があるのにも少しずつ慣れてきた。
…そりゃ、初日は驚いた…というより軽くパニックだったよ。
起きたら目の前に猫とも、人とも言えないのが居るんだからι
でも今は、それが当たり前になりつつある。
私は蔵人を抱きしめ、もう少し寝ようと眼を閉じると、寝るなと言わんがばかりに、にゃーにゃー言っている。
『…お腹空いたの?』
「にゃ」
『…じゃあ、朝ごはん食べよっか』
「にゃー」
それを聞いて蔵人は頷くとベットから出る。
もう少し寝たいけど、私もそれに続いてベットを出て、キッチンに向かう。
キッチンで用意した朝食はいつもどうりトーストとコーヒー、あとサラダが少し。
それをテーブルに並べて座ると、隣に蔵人がちょこんと座り食事をとる。
コレももう当たり前の光景になりつつある。
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