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□祭りの夜は
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「みなさん、何の話してるんですかぁ?」
「あっユリちゃん」
倉庫整理を終えたユリが戻ってきて言った。まだ状況を理解していないようだ。
「今日はもう閉めるんだって。海咲ヶ丘祭りの影響で」
「あー…そっかぁ。花音ちゃん海咲ヶ丘祭り知ってたんだね?」
「ううん!今聞いたんだよ」
「それで今から、みんなでお祭り行こって話してたんだよ!!」
「えっ…そうなの?」
花音の横から古都が顔を出して言った。まだ決まった訳ではないというのに。ユリは柊の顔を見た。
「まぁ去年行って今年行かない理由も無いしねぇ。皆が行きたいなら行こうかぁ」
「やったぁ!!ゆーきさん、行くよね?行くよね!?」
「水野さん、うるさい」
「それ行くって解釈で良い!?」
「…………」
歩はそっぽを向いてキッチンの中へと戻って行ってしまった。そんな様子も気にせずに古都ははしゃぎ続ける。そんな姿を見て花音は苦笑いする。
「古都ちゃんポジティブだよね?」
「えっそう?へへ、照れるなぁ」
「照れるとこかなぁ…」
「…まあ何だかんだ言うても、あの人なら来てくれるやろ」
「んー、とりあえず行けない人手挙げてくれる?」
柊はスタッフの顔を見渡しながら言った。行ける人、ではなく行けない人、と言う辺りが何とも彼らしい。余程の用事がない限り手を挙げづらいだろう。一同は顔を見合わせた。この場に居ないキッチンの二人を除いて、手はまだ挙がらない。
「やった!みんな行けるんだね!!」
「て言うかこの時間本来シフト入ってんだから、行けない人いないっしょ」
「渚さんの言う通ーり!はい、決まりッ」
「古都…」
「でも私も行ってみたいな。越してきたばっかりで存在すら知らなかったし」
「まぁ女性陣が行くって言うなら俺は何処へでも付いて行くけどなー」
「よし、じゃあ皆着替えておいで」
「はーい!」
柊の言葉に古都は全速力で更衣室へと向かう。その後から花音、拓真、渚が続く。嵐の後の静けさというやつだ。柊がふと目線を後ろへ移すと、立ち往生しているユリの姿が目に入った。どうかしたのだろうか。
「ユリちゃん、制服で祭りは浮くと思うよー。君が良いなら止めはしないけどね」
宣伝にもなるし。そう言ってにっこり笑う柊。
「い、いえ…!あの、ゆーきさんと藤崎さんは行かれるんですかぁ…?」
「歩くんは行くと思うよー。隼人くんは、どうだろうねぇ」
「そうですか…」
「来て欲しくないのかな?それとも逆?」
「えぇ!?そ、そんな来て欲しくないだなんて…!」
「じゃあ逆なんだね」
「えっと、えっと…!とりあえず着替えて来ますっ」
そう言うとユリは少し遅れて更衣室へと入って行った。途中で壁にぶつかっていたようだが大丈夫だろうか。柊はその様子を見てクスッと笑いを漏らした。
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