ようこそラメールカフェ!
□キッチンの憂鬱
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「な、何だよ。そんな目で見るなって」
「…邪魔」
そう一言だけ言うと、隼人は洗い終わった食器を食器棚の中へ閉まっていく。
「なぁ隼人、古都どこ行ったか知ってる?あいつ休憩中のはずなんだけど」
「休憩ルームはさっきまでわたしが居たんですけど、古都ちゃんは居ませんでしたぁ…」
「…バイク」
「「バイク?」」
「うるさい者同士で。そのまま帰ればいいのに」
隼人は表情を変えずにいつも通り悪態をついた。
「はっはぁ…なるほど。そういや拓真も休憩中だったな」
「古都ちゃん連れてドライブに行ってるんですね…」
「前から乗りたいって言ってたしなぁ」
「謎が解けたなら仕事しろ」
そう言ってキッチンへ戻っていく隼人。
「謎はまだあるってのにさ…二人が休憩入ったの大分前だし、あたしが皿割れる音聞いたのはついさっきだし、やっぱ古都は関係ないじゃん」
「うーん…もう良いんじゃないですか?お客さんが割ったのかも」
「そうだな…さっき子供連れのママ友が来てたし」
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「藤崎、空いてるうちに休憩行って来れば?」
「…ああ」
ゴミ捨てを終えた歩が戻ってきて言った。客が少ない今ならキッチンが一人でも充分回せる。
「…………」
「…皿割ったの…」
「え?」
「…さっき来てたガキだぞ」
「へ、へぇ?」
「知ってるくせに」
その言葉に歩は目を丸くする。隼人はサロンエプロンを外しながらニヤリと笑った。
「あんま苛々すんなよ」
「してない、つーか常にイライラしてるお前に言われたくない」
「ふん」
「(イライラする必要も、理由も分からない)」
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