ようこそラメールカフェ!
□キッチンの憂鬱
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こんにちは、七瀬ユリです。今日は朝からウキウキだったんだぁ。だってね…クラスメイトの花音ちゃんが私のバイト先、ラメールで働くことが決まって、今日がその初日なんだもん。花音ちゃんは私の通う学校への転校生でもあるんだけど、もっと仲良くなりたいって思ってたからほんとに嬉しいんだ。
全員との顔合わせも終わって、最初はここの雰囲気に戸惑ってる感じもあったけど…最終的に「頑張れそう」って言ってくれたし、よかった!
今は事務室で青山さんにいろいろ説明受けてるみたい。
「ユリー、こっち手伝って」
あ、渚さんが呼んでる。もうひと頑張りしてきまーす。
03.キッチンの憂鬱
「わぁ…どうしちゃったんですか?これ」
「あぁユリ、気付いたら割れてたんだよ」
渚に呼ばれユリが食器棚の前へ行くと、数枚の皿が無残な姿となって足元に散らばっていた。
「えぇー!そうなんですかぁ…」
「悪りぃけどほうきとちり取り持ってきてくれる?」
「あっはい!」
「いいよ行かなくて」
「え?」
後ろを振り返ると、既にほうきを持った歩が呆れ顔で立っていた。
「歩、気が利くな!」
「ここにスタッフ固まってたら邪魔になるし、俺やっとく」
「いいんですかぁ…?」
「…どうせあいつの尻拭いはいつも俺だし」
「あいつ?」
「何だ、これやったの古都か」
「そうとしか考えられない」
そう言って割れたガラスを片していく歩。床が段々綺麗になっていく。
「何だ、歩の予想?古都は確かにドジだけど、失敗したらちゃんと報告すると思うぞ?」
「わたしもそう思います…確かにドジですけど」
「そんだけドジなら皿も割るよ。逃げたのが証拠」
「「逃げた?」」
それだけ言うと歩はゴミ袋を抱えて裏口へ行ってしまった。破片がなくなり、床は元通りになっている。
「あ、結局ゆーきさん一人にやらせちゃいました」
「まぁその方が早いだろ。それより逃げたってなんだ?」
「さぁ…」
「おーい古都−!出てこーい!!」
「さ、叫んじゃダメですよぉ」
「今客いないし大丈夫だって」
その後渚がいくら名前を呼んでも古都は現れなかった。
「あたしをシカトするとは、古都の奴偉くなったもんだな」
「あのぉ、渚さん…」
「ん?」
ユリに袖を引っ張られ、顔を上げると隼人が可哀想なものを見るような目でこちらを見ていた。
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