ようこそラメールカフェ!
□全員集合
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「ユリちゃーん!」
「あっ花音ちゃん来たぁ!」
土曜日の昼下がり。今日は花音が待ちに待ったバイト初日である。13時頃に来るよう柊には言われていたが、家に居ても落ち着かず、少し早めの出勤となってしまった。
店の前でジョウロを持つ手をブンブン振り回しているユリを見つけ、花音は顔が綻んだ。
「水こぼれてるよ」
「あっ、ほんとだ…!えへへ、今ちょうど花壇に水やりしてたんだぁ」
「綺麗だよね、ここの花壇」
「季節によって花種変えてるんだよ。それより早く、中へどうぞどうぞ!」
「あ、うん!」
02.全員集合
ユリが扉を開けてくれ、花音は数日ぶりに中へと足を踏み入れた。昼頃ということもあって店内は中々繁盛している。お客さんの顔を見れば、みんなこの空間を満喫していることがよく分かる。
「結構賑わってるね。水やりしてて良かったの?」
「今日はスタッフ総出動の日だから。大丈夫、だと思う」
「そうなんだ」
「大丈夫じゃねぇ…水やり一つに何分掛かってんだ、グズ」
「ひっ!?」
「あっ…ふ、藤崎さん…あの、」
「ついでに入り口立たれると邪魔」
それだけ言うと、藤崎さんと呼ばれた男性はさっさとどこかへ行ってしまった。急なことで花音は顔さえよく見ることができず、呆然とした。
まさに瞬殺ってやつだ。
「ちょっとユリちゃん、何だ今の人!」
「うぅ…えっと…先輩スタッフの藤崎さん…」
「やっぱスタッフなのか…怖」
「いつもあんな感じだから…」
「うーん…てかビックリして挨拶もできなかったよ!追いかけようかな?」
「やめた方がいいと思うよぉ。忙しい時に話しかけても、きっと反応してくれないから…」
そう言ってユリは困ったように笑う。
「…あのさユリちゃん。もしかしてこの店って、扱いにくい人多い?」
「えっ?ど、どうかなぁ…良く言えば個性的な人が多い、かな?」
「あははー…そ、そっか…」
花音は少し先が思いやられた。
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