ようこそラメールカフェ!

□ようこそラメールカフェ
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「お金が…」

ない…


あ、こんな登場で失礼しました。風谷花音です。別にスられたとか、そういった物騒なことではないんですよ。ただね、前のバイト先で貯めていたお金が底をついてしまって…高校生のくせにとか金遣いが荒いとか思うかもしれないけど、高校生だって、私だって!案外大変なんです。
親の転勤で新しい土地へ引っ越しをし、新しい学校に転校し…
早くみんなと打ち解けるためには!放課後や休日の付き合いってのも大切になってくるわけですよ!サラリーマンでいう酒の席みたいなもんです!お金がどんどん減っていく理由、お察しいただけただろうか…!

あ、こんな風に通帳とにらめっこしてるヒマがあったらとっととバイト探せって話ですよね。自分で言うのも何ですが、常識はあるほうだし、前のバイト先では接客だって評判が良かった。ただ、高校生okのバイトってあまり数が無いのが現状なんですよね。


「花音ちゃん、さっきから何独り言つぶやいてるの…?」

「あっユリちゃん。ちょっとね…」

「眉間にしわ寄ってますよぉ」


ここが教室だということを忘れていました。考え込むと周りが見えなくなるのが私の悪い癖。
そしてこの子はクラスメイトの七瀬ユリちゃん。おっとりしてて、可愛くて、バックにお花が見えるような女の子だ。ちょっと天然入ってるけど、すごくいい子で私は好き。転校初日、おどおどしながらも必死で話しかけてきてくれる彼女を見て、この子と仲良くなりたい!って思ったんですよね。


「それ通帳かな?」

「うん、一応」

「持ち歩いてちゃ危ないよぉ?」

「平気平気。残金42円だから」

「ガリガリ君すら買えないねぇ」

「そう言われると悲しいものがあるね…」


私は意を決し、冒頭で呟いていたことをそっくりそのままユリちゃんに話してみた。地元の子ならこの辺りのお店にも詳しいだろうし、バイト募集してるところ教えてくれるかもしれない。



「…ってな具合なんだ」

「そっかぁ…花音ちゃんも大変なんだねぇ…」

「あははー…で、どうかな?なんかいいバイト先知らない?」

「うーん、卒業シーズンとかだと結構募集してるんだけど…」

「ですよねー…あー!何でこんな中途半端な時期に引っ越してきたんだ我が家は!」

「花音ちゃん!は、早まらないで!」

「別に早まっては…」

「とりあえず落ち着いて!バイト、ないこともないよ!」

「えっ、ほんと!?」


そう訊ねるとコクコクと首を上下に振るユリちゃん。可愛い。


「で、どこっ?どこっ?」

「う、海辺にあるカフェなんだけど…」

「へーっオシャレ!」

「わっ、私のバイト先!」

「…え?」





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