ようこそラメールカフェ!

□日曜の彼ら
1ページ/5ページ

「よし! これで全員揃ったな」


 海ヶ浦から電車で数十分。押し寄せる人波を避けるように改札口の端へと寄り、人数確認をする。二、四、五……先ほど最後に姿を現せた隼人を合わせ、計六人だ。拓真の計算は間違っていない。


「いやぁ冗談半分に誘ってはみたものの、ユリちゃんはともかく隼人さんまで来てくれるとは思いませんでしたよー」

「不在着信47件」

「何すかそれ? 隼人さん」

「……あの男に聞け。俺からは以上だ」


 静かな殺意の籠るその目の先を追えば、気まずそうな、それでいて少し安心したような複雑な表情を浮かべる歩の姿があった。普段から古都に襲われる度隼人に助けを求めている歩のことを思い返せば、何があったのかは何となく想像がつく。これ以上隼人の逆鱗に触れぬよう、さすがの拓真も空気を読み苦笑いだけを返しておいた。



10.日曜の彼ら



「私は、皆さんとこういう所来る機会ってほとんどなかったし……楽しそうだなって思って参加させてもらいました」

「何て可愛い理由! ユリちゃんはやっぱり天使やなぁ」

「も、もう、拓真くん……」

「拓真くんには女の子が全員天使に見えるようですね」

「え、あ、もちろん! 一番は花音ちゃんやけどな!?」

「どうだか。あと女の子に順位をつけるべきでないと思いますけどね」

「うぐ……」


 ……迂闊だった。先日似たような件で墓穴を掘ったばかりだというのに。しかし長年このキャラクターで生きてきたことは事実。今更キャラ変をしようにも難しいものがありますよ花音さん! そんな気持ちを分かって欲しくて、そっと花音の方へと視線を送る。すぐに拓真の視線に気付いた彼女は、全く目が笑っていない状態で微笑んできた。正直怖い。


「もーう、出発前から何揉めてんのさ! 古都は早くゆーきさんとデートしたいの!」

「この人数になった時点で最早デートにはならないよ。はい残念」

「ふっふっふ。甘いよゆーきさん。遊園地には二人きりになれるアトラクションがいっぱいあるんだからね!」

「よりによって激混みの日曜に遊園地かよとは思ってたけど。それが目的……?」

「最終的に決めたのはたっくんだけどね! 私はゆーきさんとイチャつけるなら何処でも良いって言った」

「………………」


 歩が古都から一歩距離を取ったことが分かった。合掌。


「ま、まあ古都の思惑は置いといて、折角ここまで来たことやし。とりあえず中入ろか!」

「そうしよそうしよ!」

「青山さんと渚さんも来られたら良かったのにねぇ……用事は仕方がないけど」

「確かにここまで人数増えた時点で、ユリちゃんの言う通りなんやけどな。けど俺が貰ったチケットは六人分やから、ラッキーっちゃラッキーやな」

「たっくんチケット持ってたんだ! だから遊園地にしようって言ったんだね」

「ああ、父親が会社の人に貰ったらしいわ。それを譲ってもらった」

「なーる!」


 目を輝かせる古都にニッと笑いかけ、入場チケットを全員へと配る。チケット購入の手間も省け、比較的スムーズに園内へと入ることができた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ