ようこそラメールカフェ!
□変態と鈍感
1ページ/3ページ
「デ…デ…」
「デ、やない。デートやデート」
「デ……デ……う、うわぁああああん!やっぱ言えないよー!!」
「何で言われへんねん!たった3文字の言葉を!」
「無理だぁあ!そんなハレンチな言葉ー!!」
「どの口が言うんや…」
08.変態と鈍感
花音が休憩室に入ろうとドアノブに手を掛けると、中から何やら揉めている様子の拓真と古都の声が聞こえてきた。こんなこと、前にもあったな。そう思った。あの二人のことだから、またくだらない作戦会議でもしているのだろうか。
「せっかく俺がダブルデートのチャンスをやろう言うてんのに!」
「へ?ダブルデート?」
「そや。日曜俺と花音ちゃんが出掛けることは知っとるやろ?そこに古都とゆーきさんも呼んだる言うてんねん」
「うちと、ゆーきさんを……!」
「そりゃ俺かて花音ちゃんと二人きりが良いけどな。いつまでも進展しそうにないお前らの為や。俺が一肌脱ぐしかない!」
「たっくん…!!」
なるほど、そういうことか。確かに花音は拓真からのデートの誘いにokサインを出していた。彼が想像以上に自分のことを考えてくれているのだと分かったからだ。そして友人想いの拓真はそのデートに古都と歩も誘おうと考えているのだ。
花音はそれも良いかもしれないと思った。二人よりも四人の方が盛り上がるであろうという、そんな安易な想像ではあったが。
「たっくん…」
「何や、感謝の台詞なんか古都らしくないで」
「却下!!」
「そうかそうか、嬉し過ぎて涙が……って、はぁっ!?今何て…?」
「だから、却下!!」
「俺はお前の為を思って…!何が不満やねん!」
「だってだって、二人っきりじゃないとピンク色の展開には持って行きにくいよ!あんな事やこんな事も…まっったく出来ないじゃん!!」
「お前は初デートで何を……なんて不埒な奴や!そこに正座せい!!」
「嫌じゃ!」
声のボリュームが段々と上がっていく二人。最終的には喧嘩にまで発展している。駄目だこりゃ、花音は心の中で呟いた。