ようこそラメールカフェ!

□日曜の誘い
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「げ、」


休憩被った。

部屋に置いてある椅子に腰を掛け、何やら熱心に読書をしている様子の古都を見て歩は思わず呟いた。しかし彼女が読み物だなんて珍しいこともあるじゃないか。いっそこのまま休憩終了までこちらの気配に気づかず、自分の世界に閉じこもっていて欲しいものだ。切実に。そんな願いも空しく、古都は手元の本から顔を上げにこにこと話しかけてきた。


「ゆーきさんっ!突っ立ってないで座りなよ!!」

「わ、気付いてたのか…」

「ゆーきさんだけは見なくても分かるんだぁ」

「そ、そう」

「さぁさぁ早く、古都の膝の上へっ!カモン!!」

「読書の続きをどうぞ」


歩は古都の言葉を受け流すと彼女の斜め前の椅子へと腰を掛け、片肘をついた。少し目線を動かせば、「柔らかいのに…」等とぶつぶつ呟いている古都の姿が目に入る。いや、柔らかさの問題ではないだろう。


「はぁ、じゃあ再び勉強タイムと洒落込もうかな」

「…何読んでんの」

「教科書!鞄これしか入ってないからねー。あ、ゆーきさんも手伝ってくれる!?」

「え、宿題?まぁ教科によるけど…」

「ううん、自主勉!保健体育だよ!」

「ゴホッ、」


その言葉に歩は思い切り咽こんでしまう。涙目のまま顔を引きつらせ、ガタンと椅子から立ち上がった。その様子を見た古都は目を輝かせながら「その顔たまりません…!ぜひ実践学習を…!!」と言って自身も席を立つ。歩は後ずさりしつつ休憩室の出入口を振り返って叫んだ。


「ふ、藤崎、助けて!」






07.日曜の誘い






「…隼人、今歩の声聞こえなかった?」

「知らん」

「あんたのこと呼んでた気がするんだけど」

「放っておけ」

「…助けてもらえたことないくせに、何でいつも隼人に頼るかな」


渚はそう言うと呆れるように笑った。


「いいから仕事しろ」

「へいへい」






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