ようこそラメールカフェ!

□忘れ物
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「ふむふむ!ずばり、これはゆーきさんのだねっ!」

「何で分かるの?」

「いつもくっついてるから匂いで分かるんだぁ…!このお日さまみたいなあったかい匂いは絶対そう、確定!」

「これで隼人さんのやったら笑えるな」

「わ、笑えないよぉ…」

「大丈夫!もし隼人さんのだったら真冬に食べるかき氷みたいな匂いがするはずだし!」

「…自分殺されんで」

「届けてきてあげたらー?」

「わっ!?」


突如した声に扉の方を振り返ると、にこにこといつもの穏やかな笑顔で壁へ寄りかかる柊の姿があった。この部屋にはどこか抜け道でもあるのだろうか。


「青山さん…」

「火曜のこの時間はまだ彼ら授業中のはずだよ」

「ほんと!?てんちょ!学校行けば会える?」

「で、でも柊さん、今仕事中やし…」

「揃って休憩室に居ても回るくらい暇みたいだし?大丈夫じゃないかなぁ」


嫌味だ、絶対嫌味だ…!そう言えば揃いも揃って休憩室にたむろしてしまっていた。これは嫌味を言われてしまっても仕方がない。怒らない分柊は優しいのだろう。まあ普通に怒られるより怖いものがあるのも事実だが。


「てんちょ、ほんとに行ってきて良い!?」

「お前はちょっと黙っとけって!」

「ついでに買い出し行ってきてくれるなら構わないよ。どうせ今はまったりタイムだしねぇ」

「買い出しですか?」

「うん、はいこれ」


柊は近くに居た花音に買い出しのメモを手渡すと、よろしくねーと言って客席の方へと消えてしまった。花音は受け取ったメモに目を通した。


「えっ…!?」

「どうしたのぉ花音ちゃん」

「な、何この量」

「まあ柊さんに上手いこと利用されたっちゅーことやな」

「そんな暢気な…青山さん行かないってことは歩きだよね?きっついな…」

「ま、花音っちがネクタイなんか見つけちゃうからだよねー!」

「いや、元凶はお前やろ」

「ほへ?何でさ!」


そして再び揉め始める二人。花音はその光景とメモを交互に見て小さく溜息をついた。自分は元々休憩に入る予定だったのだからサボっていた訳ではないのに。でもまあオーナー命令は絶対だし、仕方がないか。華麗な買い出しっぷりで柊からの信頼を取り戻すしかない。


「花音ちゃん、華麗な買い出しっぷりって何…?」

「えっ、声に出てた?」

「う、うん」

「じゃあうちは華麗なお届けっぷりで、益々ゆーきさんを虜にさせちゃうもんねー!」

「…………」

「…帰りが遅なるわ。さっさと行こか」

「あ、はは…」


海ヶ浦やったらそんなに遠ないわ、と言ってサロンを外す拓真。彼はいつこの辺りに越してきたのだろうか。すごく詳しいようだけれど。






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