Fate
□始まり
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「わーい1番乗りー!」
「懐かしいねー」
しおりを先頭にまず女性陣が中へ入った。綺麗に清掃されており、一年前に親睦合宿で訪れた際と何ら変わりのないように見える。その内この問題児たちが散らかすことになるのは安易に予想できてしまうが。
部屋にはキッチンと簡易な家具が置いてあり、奥にはシャワールームもあったはずだ。
窓からは太陽の光が差し込んでいる。
「おい、荷物を置いて行くな」
続いて男性陣が恵ら四人の荷物と共に部屋へ入ってくる。
「わ、ごめんなさい」
「ありがとう」
由衣とナツが駆け寄り、四人分のスーツケースを受け取る。
これでメンバー全員がコテージへ足を踏み入れたことになる。やっと一息つけるかもしれない。
「いやー移動時間長かったし疲れたね!とりあえず休憩しようよ!」
「しおり、てめーは寝てただけだろうが」
「背中が痛いんすよ〜」
「知るか!」
「…休憩よりまず部屋決め。荷物邪魔でしょ」
ナツが呆れ顔で言った。そうだ、先ほどその話をしていたばかりではないか。女性陣は「どうするか」の意味を込めて俊二の顔を見た。
「そちらで自由に二人ずつ分かれれば良い。俺達も適当に決める」
「ほーい!」
*************
「では僕と俊二、颯太とカズの組み合わせで良いんですね」
「ああ」
「またカズのお守かぁ」
「何それ」
「こっちは決まったよーう!」
しおりの声に後ろを振り返る男子メンバー。暢気そうに手を振っている。
「どうなったんです」
「恵としおり、由衣と私」
組み合わせを聞き俊二の眉がピクリと動く。涼介と颯太も少し不安げな表情を浮かべた。
「…大丈夫なのか」
「何でっすかー?」
「喧嘩するなよ」
「大丈夫っすか?由衣、ナツ」
「違う」
「いて」
いつの間に手にしたのか、例の手作り旗で俊二がしおりの頭を小突く。
「生徒会ツアー号!いつの間に盗んだんすか!?」
「落ちていたんだ」
なるほど、そう言ってしおりは手のひらをポンと叩いた。周りのメンバーは呆れたように溜息をつく。和とナツに関しては既に荷物を引いて階段を上がろうとしている。
「…俺らも行こうか」
「そうだな。一旦荷物を置き、また一階に集合してくれ」
「わかったぁ」
「了解っす!」
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