Fate
□不穏
1ページ/7ページ
「一ノ瀬君」
「はい」
「昼休み、他の男子役員も連れて学園長室へ行ってもらえるか」
「…学園長来られてるんですか」
朝のホームルーム後、担任の早田に呼び止められた俊二はいきなりのことに少し驚いた。
堂朋学園は中高大一貫校であり、校長とは別に学園全体のトップである学園長が存在する。
あまり来校しないため、会う機会も少ないのだ。
「そういう訳で、頼んだよ」
「…分かりました」
story.18不穏
「早田の奴昨日の内に言えっつーの。校章忘れたし」
「今日決まったのかもしれませんよ」
昼休み、あの後俊二から話を聞いた男子役員は四人揃って学園長室へと向かっていた。
文句を言う和を涼介がたしなめる。
「会うの久しぶりだよね。あの時以来か」
「…そうだな」
颯太の言うあの時とは、生徒会が新体制になって間もない頃、選挙でのミスを告げられたあの日だ。
そして同時に女子役員の成長を任された日でもある。
「…ありましたね、そんなことも」
「何言われるんだか」
「良い話であることを願おう。…行くぞ」
話をしているうちに学園長室前へと到着する。
俊二は重そうな扉をノックした。
「生徒会です」
「ああ、どうぞ」
「「失礼します」」
*************
「合宿に持っていくもの、いつ買いに行くー?」
教室でお弁当を広げながら由衣が皆に聞く。
「今でしyゴフッ」
「言わせねー。持ち物なら家にあるもんで揃うだろ」
恵はしおりの口にクリームパンを突っ込みながら言った。
「うみゃい」
「私は足りないものありそうだから買いに行く」
「だよねー!恵、宿泊先はホテルじゃないんだよん。コテージだから何も無いんだぞッ!!」
「うっせ!おめーに言われなくてもわぁってるよ」
盛り上がる中、由衣が緊張したような面持ちで呟いた。
「…数日間、一日中一緒に過ごすんだよね…な、なんか不安なのはわたしだけ?」
「安心しろ由衣」
「え?」
「「「不安しかない」」」
「…………」
珍しく三人が声をそろえて言った。
→