Fate

□以前との違い
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「ホームルーム長いねぇ!」

「声が大きい」


B組前の廊下でお構いなしに騒ぐしおり。
ナツがすかさず注意する。

昨日のしおりの発言により、放課後一緒に出かけることになった8人。
買い出しに行ったことはあるものの、プライベートで遊びに行くのは初めてのこと。
思いもよらない展開に、こうして男性陣を待つ今も皆戸惑っていた。


「出会った頃じゃ考えられないよねぇ…」

「うんうん!恵が少し大人になったからかな!?」

「うっせぇ一番のガキ!大体あっちがあたしらを相手にしなかったんだろうが!」

「へぇ、自覚あったの」

「い、今のは言葉の綾だ」


ナツのツッコミに、ばつが悪そうにそっぽを向く恵。


「君たち、さっきから騒がしいよ。少し静かにしなさい」

「げっ…」

「す、すみません」


耐えかねたのか、B組のドアから顔を出して注意する担任教師。
由衣がすかさず謝ると、教師はまたすぐ顔を引っ込めた。
その直後ぞろぞろと生徒たちが教室から出てきたので、ホームルームは終わったようだ。






story17.以前との違い




「お前たちはほんの数分間も黙っていられないのか」


校門を出るまで無言だった男子メンバーだが、最初に口を開いたのは俊二だった。


「ごめん会長さまー!ついうっかり」

「うっかりが多すぎる」

「待たせるそっちがわりぃんだよ。しかも教室から出てきても無言で嫌な顔するだけだしよ!」


待たせてごめんくらい言えってんだ、と愚痴を吐く恵。


「大人しくしていたらその位の言葉は掛けただろうな」

「ちっ」

「け、喧嘩はやめようよぉ。今度からわたし達も気を付けるから!」


初っ端から険悪な雰囲気になりそうだったので、それを阻止するように由衣が言った。
それに続きしおりもうんうんと頷いた。


「ってか男子諸君ももっと喋ってよー!初めてのお出掛け記念なんだからはしゃいで行こー!!」

「最初で最後だけど」

「柴ちゃんひどいっす!」

「まぁたまには良いんじゃないかな。気分転換も」

「気分転換になると良いですが…それはそうと、目的地は決まっているんですか?」


涼介が女子メンバーに問いかけた。


「もちろんっすよ!今日学校来てからず〜っとみんなで話し合ってたんだもん!」

「ちゃんと授業は受けたんだろうな」


俊二は怪訝そうな顔で四人を見た。
一斉に目をそらす一同。


「はぁ…」

「水族園になった」

「「…水族園?」」


ナツの言葉に顔を上げる男子メンバー。
理由を知りたいようだ。


「い、いろいろ意見は出たんだけどね…遊園地とか動物園だと嫌がる人もいそうだし、間を取ってと言うか…」

「あたしらだってちゃんと考えたんだ。文句言うなよな」

「水族園なら嫌な要素皆無っしょ!ほらほら、早く電車に乗ろうではないかッ」


学校から駅まで歩いて数分なので、話しながらだとあっという間に着いてしまうのだ。


「分かったから押すな」


学校の最寄駅から乗車したため、同じ学園の生徒たちもちらほら車内にいた。
視線が集まってくるのが分かったが、俊二ら男性陣は特に気にした様子がなかったので、その態度になぜか安心を覚えた。






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