Fate

□仲良くなりたい
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「よかったねしおり、一ノ瀬くん考えといてくれるらしいし」


「うん!ホントはあの券が無くても遊びに行ったりできるくらい、仲良くなりたいんだけどねー」



資料を運びながら雑談する由衣としおり。
あの後騒ぎ続けるしおりに対し、俊二の「分かったから仕事しろ」という一言でその場は収まり今に至る。



「んー…でも最初の頃に比べると、険悪な雰囲気はなくなったと思うよ?」


「おっ、由衣もそう思うっすか!」


「う、うん。あと何が足りないんだろうね」


「信頼とか」


「わっ!ビックリした…ナツ」



生徒会室の前にはナツが立っていた。



「遅いから様子見に行こうかと思って」


「そ、そっか」


「それよりナツ、信頼ってー!?」


「信頼は信頼。どの組織にも必要」



そう言って先に部屋の中へ戻っていくナツ。



「頼りにされるってこと?」


「うーん、言葉にするのは難しいかな。感じ取るものっていうか…」


「ほほう。由衣もロマンチストっすな!」



二人が部屋に戻ると、和がコピー機をペシペシと叩いていた。



「柴ちゃん、ツッコミの練習っすか?」


「君が練習台になる?」


「な、なんか目がガチだからやめとこっかな…!」


「カズ、原因が分かった。これ紙のサイズが微妙に合ってない」



コピー機を調べていた颯太がそう言って顔を覗かせた。



「…故障じゃなかったのか」


「うん。坂本先生が持ってきてくれたんだけど、サイズ勘違いしてたみたいだね」


「ふん、役立たずが」


「こら」



和と颯太のやり取りを見ていたしおりはやっと状況を理解することができた。
コピーは後回しでいいか、と言って持ち場へ戻る二人に、しおりは閃いた。
頼りにしてもらうには地道な努力!
苦手分野ではあるが、しおりは意気込んでそっと生徒会室を後にした。






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