Fate
□向き不向き
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「明日からかぁーテスト」
そう考えるだけで気分が下がるしおり。
一年の頃はあまり点数など気にしなかったが……
「今は一応生徒会っていう生徒代表の位置にいるわけだしー…」
前まで諦めという言葉しかなかったしおりの頭の中に、このままではいけないんじゃないかという考えが混じり始めていた。
「そうやって悩めるようになったなら、少しは進歩したという事だな」
「へ……?会長さま!」
しおりの前に現れたのは俊二だった。
story3.向き不向き
「あ、恵なら教室か校庭か保健室にいると思うよ!」
「…いや、別にお前でも構わない」
「珍しい!会長さまがうちにご用とはっ」
「用と言うか…お前は成績を上げたいか?」
「えっ?そりゃ出来ることならもちろん。成績が上がれば生徒会として自信が持てそうな気がするしっ」
会長さまみたいにね、と言ってニッと笑うしおり。
「もしお前にその気があるのなら、俺達が教えてやってもいい」
「えっえぇ!ホント!?」
「と言ってもそれぞれに得意、苦手分野がある。誰に教わりたいか考えておけ」
それだけ言うとその場から去ろうとする俊二。
「あのっ!今日の会長さま何となく優しい気がするんだけど、ドッキリとかじゃないよね?」
「お前のドッキリなんかどこで放送するんだ」
「これは一本とられましたな」
「……早く学園長に認めてもらうことだな」
「え?何々」
何でもない、と言い去っていく俊二を不思議に思いながら見送るしおりだった。