Fate
□二つの殻
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放課後の購買は良い。ホームルーム直後だとさすがに多少混雑するが、今くらいの時間帯ならベストタイミングと言える。人気商品が売り切れてしまう恐れがあるため、目的の品がある場合にはお勧めしないが。和には特にお目当てのお菓子があるわけではないので、いつ来ようが関係ない話だった。
「ブラックとホワイトチョコどっちにするー?」
「迷うけど、今日はブラックの気分!」
「あ、分かる!」
近くでは女子生徒による中身のない会話が繰り広げられていた。会話が一段落すると、そこで二人の間には笑いが生まれる。意味が分からない、何が面白いのだろう。箸が転んでもおかしい年頃か。鬱陶しいな。和は心の中で悪態をつきながら、パッケージも確認せず手当たり次第に棚に並ぶ菓子類を手に取って行った。先程まで楽しそうに笑っていた女子生徒も、今は唖然とした表情で和の方を見ている。ついでにホワイトチョコも買って行くか。
story38.二つの殻
「あ、柴ちゃんおかえり! って……めっちゃお菓子持ってる!」
「非常食」
「遅かったな」
生徒会室前の廊下に差し掛かると、そこには俊二としおりの姿があった。帰りの遅い和への説教の為に待ち構えていたのかと一瞬思ったが、様子を見る限りどうやら違ったようだ。
「二人は廊下で何してんの。追い出された?」
「そんなわけないだろう……良いから中に入るぞ。休憩は終わりだ」
俊二はお堅いな。乗ってくれても良いのに。まあ切れ味抜群のノリ突っ込みを披露されたところで、反応に困るから別に良いんだけど。俊二が生徒会室のドアを開け、三人で一緒に中へと入った。