Fate
□共通する感情
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月曜というのはどうしてこうも疲れるのだろう。例えるなら、苦労してクリアしたアドベンチャーゲームのリセットボタンを押され、スタート地点に戻ってきてしまったような、そんな気分。それが毎週訪れるのだから、いい加減慣れても良いのに。頭ではそんなことを考えながらも体は正直で、しおりはふあ、と大きな欠伸を漏らしてしまった。
「……葉月、今は会議中だ。欠伸は我慢しろ」
「うは、見られてた?」
「嫌でも目に入る」
「でもですよ会長さま。欠伸は正義現象と言って、我慢しようにも難しいというか」
しおりが喋り終わるよりも先に俊二が「生理現象だ」と言って丸めた資料で頭を叩く。彼のこの突っ込みにも慣れたもので、しおりはえへ、と舌を出し笑って誤魔化した。決して褒められているわけではないのだが、しおりにとってこの瞬間はとても心地よく、わざとボケたくなる時だってあるくらいなのだ。
へらへら笑っていると、呆れ顔の涼介と目が合った。彼はふう、と溜息を一つ落とした後、「日曜日は学校に潰されたわけですし、仕方ないですね」とありがたいお言葉で庇ってくれた。
「そうそう! 実質休みなしだったんすよね。道理で眠いわけだ!」
「てめーらは昼で作業終わったんだろ? こっちの方がしんどいっつーんだ」
「うちらだって先生にこき使われてしんどかったもん!」
「……葉月、有川、静かにしろ。話が進まない」
しおりと恵がセットで注意されるのもいつものこと。しおりは「はあい」と素直に返事をして、資料を開いた。そういえば、今は体育祭について話し合っている最中だった。
「……その前に。森山くんがまだ来ていないけど、進めて良いの」
会議が再開されようとしたところで、ナツが男子メンバーに問いかけた。どうやら部屋が静かになるのを待っていたようだ。ナツの隣に座っていた由衣が、その言葉を聞いてビクッと肩を揺らした気がするのだが、気のせいだろうか。
「そう言えば遅いですね……人に呼ばれたと言っていましたが」
「人に……?」
「カズ、最後に教室を出たのはお前だったな。何か知らないか」
「さあ。眠くなって帰ったんじゃない」
「……知らないと解釈するからな」
俊二の念押しにも和は反応を示さなかった。彼と会話する際には、想像力を働かせなければいけないのだから困りものだ。
それにしても、颯太が遅刻だなんて珍しい。生徒会よりも優先させたい人とは誰なのだろう。男子メンバーが皆知らないとなると、どうすることもできない。ただ彼の到着を待つしかないのだ。
「いつまでも会議を中断していても仕方がない。このまま進めるぞ」
「そうですね。その内連絡が入るでしょうし」
「はっ……これがしおりだったら探しに行くくせによぉ」
「颯太は葉月とは違う。倉庫に閉じ込められるようなミスはしない」
「おほ、さりげなくディスられてる?」
しおりの嘆きもスルーされ、会議が再開された。皆見事なまでにいつも通りだ。由衣だけは相変わらず元気がなかったけれど。