gift

□ルームシェア
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小さな真珠・慎様へ。
相互記念で『同棲』





ルームシェア







「お前なぁ!脱いだ服は掛けとけっていったろ」
「すみません。つい」
「しわになるだろうが!誰がアイロンかけると思ってんだ」
「お詫びに今日は貴方の好きなハンバーグにしますから。ね?」
「・・・2個な」
「フフ、いいですよ」

そういうと、古泉は台所へ向かった。

俺は、しわだらけになったジャケットをどうするか考えている。

風呂場にでもかけとくか。










俺たちは高校を卒業した。


『普通』に。


SOS団のメンバーも、おのおの自分のいるべき場所へと戻っていった。






「キョンくーん。煮込みと焼きはどっちがいいですかー?」
「ん〜今日は焼いたのがいい」
「了解しました」



なぜ、こいつだけがココにいるかというと、アレだ。
俺も大学生になって、一人暮らしをしたかったけど、物価の上昇や株の暴落、そのたもろもろで金が掛かるので、古泉にルームシェアを持ちかけたところ、二つ返事で了承を得られたからであって、



「いやぁ、こうしてると夫婦って感じが強まりますね。いいですねぇ同棲って」
「違う!」



断じて、同棲などではない。
共用のスペースばかりではあるし、まぁその・・・恋人同士、であるにしても、だ。



それに、掃除洗濯はできるが料理は母親任せだった俺と、料理上手で片付けられない男の古泉。
一緒に暮らすには丁度いい。




それだけだ。




高校生の頃も入り浸っていたが、一緒に暮らすようになって古泉の色々な面に気がついた。



まず、金銭感覚がない。
機関から年齢にそぐわないほどのアルバイト代をもらっていたせいだろうか。
衝動買いや、大量買いを平気でする。

あと、風呂。
俺は風呂でのんびりしたいので、浴槽に湯を張るのだが古泉はシャワーで済ませようとする。
・・・たまには、一緒に入ってもいいんだがな。


って、いまのなし。


服は脱ぎ散らかすし、洗濯物もたたんでないし、掃除もしないし、書類も出しっぱなしだし。

あぁ、思い出しただけで腹が立つ。

片付けても片付けてもきりがない。

どうしてこいつと一緒に暮らしているんだろう。





『本当ですか!キョン君。本当に一緒に暮らしてくれるんですか』





俺が、ルームシェアを持ちかけたとき、古泉は嬉しそうに、それでいて今にも泣き出しそうな顔でそう言った。


その表情に、何だか俺は胸を締め付けられるような感じがした。




こいつは、どれだけの時間をひとりで過ごしてきたんだろう。

どうして、俺はその時間を一緒に過ごしてやれなかったんだろう。

そう、思った。





眠りが浅くて、俺がベッドを抜け出すたびに古泉は起きる。

そして、俺がまた戻ってくるまで起きている。

不安そうな目をして。






大丈夫だから。


俺は必ずお前のところに戻ってくるから。







何度か、そう言ってやったが、頼りない笑顔で返されただけだった。







そして、俺が眠るまで起きているのだ。







その度に、こいつの寂しさを埋めてやりたいと、そう思った。








愛おしい。
と改めて思ったんだ。






















「キョンくーん。晩御飯できましたよ」
「おう。こっちも洗濯物たたみ終わったぞ」


テーブルには、美味そうなハンバーグ。
付け合せには温野菜。


「さ、座って座って」


そして、笑顔で座っている古泉。





「「いただきます」」










最近、古泉は寝つきが良くなってきた。

俺が寝顔を拝める程度には。








飽きるほどに眺めていられるくらいまで、お前を安心させてやるからな。








『大好きだよ』と心の中でつぶやいて、俺は湯気の立つハンバーグに食いついた。







END






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慎様への捧げもの。相互記念。
同棲ネタとの事でしたが、いかがでしたでしょうか。
と、聞けない。あぁまたぐだぐだ感が・・・。

慎様、これからもよろしくお願いします。

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