gift
□あぁ、僕のかわいい恋人よ
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突然ですが、僕、古泉一樹に人生初の恋人ができました。
その名もキョンくんです。キョン、というのは本名じゃないですよ?彼のあだ名です。
あ、彼って言っちゃいましたね。というかキョン「くん」と言ってる時点でバレバレですね。そうです。人生初の恋人というのは、男性です。でもいいのです。僕は男が好きなのではなく、彼が、好きなのですから。
彼を落とすのは本当に大変でした。彼は僕が近寄ると「近い!息かけるな!気持ち悪い!!」などと言って全然近寄らせてもらえませんでした。僕が彼に嫌われていることは十分承知でしたが、どうしても諦められなくて、ひたすらアタックを続けてきました。そして先月、この気持ちを閉じ込めておくのも我慢できなくなってしまい、失恋覚悟で…
『好きです!!僕はあなたのことが好きです、大好きなんですキョンくん!!!!あなたなしではもう生きていけません!!!!僕と…付き合ってくださいっ!!』
『!!!』
ついに告白してしまいました。キョンくんは目を見開いて固まっていました。
やっぱりだめかなぁ……そうだよなぁ………僕もキョンくんも男だしなぁ……キョンくんはそうゆうの気にしそうなタイプだしな…………と心の中でウジウジと考えていると……
みるみるうちにキョンくんの顔が赤くなっていきました。そして目をそらして…
『お……おれ、も…………』
………え?
『おれも…おまえが……す…き……』
絶対無理だと思っていたのに……神様っ!!この御恩は一生忘れませんっ!!
こうして僕とキョンくんは付き合うことになったのでした。
そして今は………
「古泉ぃ」
「なんですかキョンくん」
「今日の夕飯、何が良い?」
「キョンくんが作ったものならなんでもいいです」
「……ばか」
バカップル。
いいですよ。そう呼んでくれて構いませんよ。事実ですから。
今日キョンくんは僕の部屋に泊まりにきました。今僕達は部屋でまったりくつろいでいます。
……くつろいでる…といっていいのかは定かではありませんが。
僕はソファーに普通に座っているのですが、キョンくんは僕と向かい合った形で僕の膝に座り僕の首に腕をまわして僕を抱きしめていました。
意外でしょう?僕だってビックリしてるんですよ。反則ですよこんなの。
付き合う前のキョンくんはツンデレのデレの字が全くなくツンツンツンで僕は突き放されっぱなしでしたが……今のキョンくんはツンデレのツンの部分が消え失せてデレデレデレなのです。付き合う前のツンツンツンは照れ隠しだったようで、では今のデレデレデレの彼が本当の彼なのか?
まぁ、かわいいから、良いんですけどね☆人がいるところでは普通なんですが、2人っきりになるとべったりくっついて離れないんですよ。
あぁ、本当にかわいくてかわいくて、毎日理性を保つのが大変です。
しかしですね、この、キョンくんが僕に引っ付いている状態がとても幸せなのですが、かれこれ2時間くらいこの体勢なのです。同じ体勢を続けるのは少し疲れますし、それに、ちょっと……………あのですね………
「キョ、キョンくん?」
「なんだ?」
「あの…………ト、トイレに行きたいのですが……」
少し前から催してきまして、我慢していたのですが、もう我慢の限界なんです。しかしキョンくんは
「……やだ」
えー!!やだって言われても……
うれしいんですよ?恋人がくっついてきてくれてるんですから。うれしいんですけど、トイレに行きたいんです!!漏れそうなんです!!
「キョンくん……トイレに、行かせてください…………漏れそうです」
半泣きでキョンくんにお願いすると、キョンくんは……
「……じゃあ俺も行く」
連れション!!??なんでっっ!!??
「それはちょっと……トイレから帰ってきたら好きなだけくっついていいですから……行かせて下さい……」
もうほとんど泣いている僕にキョンくんは
「……分かったよ」
やっと離してくれました。そして…
「早く…帰ってこいな…」
くわっっ!!!かっかわいい!
トイレに行く決意が揺るぎそうになりましたが、漏らすわけにはいかないので「すぐに戻ります!!」と伝えてから僕はトイレに駆け込んだ。
「………ふぅ」
あと10秒遅かったら危なかったな。
用を足し、トイレからでると…
「うわっ!!」
何か大きいものが体当たりしてきました。その大きいものとは
「キョ、キョンくん?」
キョンくんでした。キョンくんが飛び付いてきたのです。…………ビックリした。というか、トイレの前で待ってたんですかキョンくん!?
「古泉ぃ」
「どうかしました?」
キョンくんは僕の肩に顔を埋めている。なので表情が見えない。僕はキョンくんの頭を撫でた。
「キョンくん?」
「寂しかった」
「え?」
キョンくんは僕の肩に埋めていた顔を上げた。
ダメです。その顔はヤバいです。上目遣いはダメですキョンくん!僕の理性が保ちませんからっ!!
「どこにも、行かないで?」
うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!
「うわっ!!」
僕はキョンくんを世間一般でお姫様だっこと呼ばれている方法で抱え上げ寝室に直行した。
「こ、古泉!?」
寝室に着いてキョンくんをベッドの上に寝かせてその上に僕はのし掛かった。
キョンくんが息を呑んだ音がした。
「古泉?」
「あなたはっ……どこまで僕を煽れば気が済むのですかっ!!」
もう、我慢できません!!
そう言って僕はキョンくんの首に吸い付いた。
「んっ………古泉……」
キョンくんは僕の耳に顔を近付けて…
早く、きて…………
理性崩壊。
理性ってなに?おいしいの?
それから僕達は、夕飯も忘れ時間も忘れ野獣のようにお互いを求め尽くしました。
翌日の朝
「こい…ずみ………みず………」
「はい!水ですね!今お持ちしますからね!待っててくださいね!!」
僕は急いで冷蔵庫に向かった。
キョンくんは僕のベッドにてうつ伏せでぐったりしている。昨日から今日に掛けての行為のせいで動けなくなっていたのだ。声も枯れている。
…………すいません。加減できませんでした。
冷蔵庫から水を取り出しキョンくんの元へ急ぐ。
「キョンくん!!お水ですよ!!飲めますか?」
「ん………」
キョンくんが横目でこちらをみた。
「………飲まして」
その横目とかかすれた声がやけにエロくて…………
「…なぁ……………早く……」
プツンッ
「えっ?古泉?ちょっと、なに?なんで脱がすんだよ、水、水は?ちょっと、ちょっとまて!!!やめっ…まてってぇ…………あぁーーーーーー!!!!!」
デレデレはすごくかわいいんですけどね、たまにでいいかもしれませんね。理性を保つ自信、もうありませんから。でも、いつもツンツンじゃ僕いじけちゃいますから、またにデレデレになってくださいね!キョンくん♪♪
END