ケロロ短編

□ケロロ 緊急事用撤退訓練
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しばらくして。
僕は、睦実さんと防災館の中を回っていた。
当然僕は一度回った訳なんだけど、やって来た睦実さんが、

「俺も冬樹君と回りたいんだけどなぁ」

なんて眉をハの字にして言うから。

…僕この顔に弱いんだよ…

そもそもの睦実さんとの約束を蹴ってる僕としては断りたくないし、僕は頷いた訳だけど。

でもさ。

西澤さんにしても睦実さんにしてもそうなんだけど、アトラクションとはいえ不注意過ぎると思うんだよ。
軍曹達とのゴタゴタで麻痺してるのもあるだろうけどさ。
火災避難の時は迂濶に立っちゃうし、睦実さんの地震の時の対応なんか本当に酷かった。

「この位の揺れどってことないさ」

なんて言って、火を消して窓やドアを開ける僕を見てニヤニヤ立ってるだけなんだよ?
確かに一般の目もある場所だし、睦実さんの変装は全く意味ないから623だってバレてるみたいだったし。
だからあまり慌てた事は623的にできないのかもしれないけど…

「真面目にやらないなら回りませんよっ!」

と僕が叫ぶのも仕方ない事だと思う。

「えぇ!?いやそれは…」

…それで睦実さんも何でどのアトラクションよりも動揺するかなー…

結果、睦実さんは3点だった。
…何で西澤さんより点がいいんだろ?
まぁいいや、機械採点なんていい加減なものだってあのクルルが言ってたくらいだし、そんなものなんだろう。

それより。

「真面目にやらないならなんで回りたいなんて言うんですか」

はぁ、と溜息をつきながら、僕は尋ねた。
だって、回りたいなんて言う位だ。
どんなのがあるのかとか気になってるって事だと思ってたのに、そんなの気にせず遊んでた睦実さんの目的が僕にはわからない。
なら別に来なくても良かったんじゃあ、なんて思うし口にした。
すると睦実さんは

「冬樹君は桃華ちゃんとの事で邪魔してほしくなかった?」

そう尋ねる表情は、何だか悲しそうで。
そういう問題じゃないでしょう、とは思ったけど言えなかった。
…ひょっとして、睦実さんが僕と回りたがった理由って…

「あの…」

理由を聞こうとしたまさにその時。

「冬樹君、お待たせしましたっ!」

居残りを終えた西澤さんが走ってきたから、この話を中断せざるを得なくなった。
……西澤さんが来た途端睦実さんの表情が険しくなったから、二の句を継げなくて。
最も、傍目にはわからない程度の変化だったけどね。



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