ケロロ短編

□ケロロ 空虚!二十四時間放送終了
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ひねくれ者とか自覚はしても、
『言われたくない相手』
っていうのは誰にでも居る。


「確かにちょっとひねてるかも知れないね」

僕にとって言われたくない相手である睦実さんにキッパリと言われて、僕は露骨に顔を歪ませた。
元々苦笑していた睦実さんは、僕の反応に本当に困ったように笑ったけど、それでも僕の歪んだ表情は戻らない。

「言われたくありません」

きっぱり言ったけど、言葉に不足があったみたいで、

「自分から聞いておいて何だよもう」

少しすねたようにな睦実さんからは、どうやら僕はひねてると認めたくない、と勘違いしたようなぼやきが聞こえた。

…別にひねくれ者である事を否定したい訳じゃないんだけどな。
他の誰ならともかく、睦実さんに対しては取り繕っても無駄だと思える位に素の僕が知れている。
変に理屈っぽい僕がわりとひねくれた観点で論を展開するのもよく知っているだろう。
逆に僕も睦実さんの素はよく知っている訳だけど、だからこそ。
ただ本当に、

「睦実さんには言われたくありません」

ってだけで他意はないんだ。
確かに僕はひねてるかも知れませんが、と付け加えたら、睦実さんはますます意味がわからないと首を傾げた。
自覚しているなら何で嫌なんだとでも言いたげな視線が、僕に突き刺さる。

…理由を説明してもいいんだけど、僕のつまらない意地が原因だから言いたくない。
呆れられるならまだしも、それで嫌われやしないか怖いんだ。
だったら最初から嫌な顔しないで肯定すればいいんだけど、やっぱりどうしても睦実さんには言われたくない。
けれど…と、僕の頭は堂々めぐり。
あくまで顔は歪んだままだ。
…それがまずかったのかな。

「冬樹君は俺が嫌い?」

不安と、煮えきらない態度への不満を募らせたのか睦実さんが、そんな事を聞いてきたんだ!
相変わらず苦笑っているけど…目が笑ってない。

「そんな事ないですよっ!」

あわてて否定する僕に、

「じゃあ理由、聞かせてくれないかな」

投げ掛けられた質問への黙秘は許されないように感じた。
言わなきゃこのまま喧嘩しちゃう気がする。
……言わなかった理由から本当に子供じみてて言うの嫌なんだけど……
はぁ、と息をはいてから、僕は渋々話しだした。

「言わなかったのは、子供で意地っ張りと思われたくなかったからです」

「…意地っ張りな事くらい知ってたのに」

でしょうね。
でもやっぱり子供っぽくて意地っ張りな僕は言いたくなかった。
子供だなって呆れられたくなかったから。
…十分呆れられたみたいだけど…

「それで、何で俺には言われたくないの?」

その質問に答える前に、聞いておきたい事がある。

「睦実さんは24時間放送見ましたか?」

「ん?見たよ」

「楽しみました?」

「うん。こいつ実は寝たなとか、あぁやらせだなとかね」

……やっぱり。
こういうトコまでクルルと息が合うんだからなぁ。
僕は溜息をついた後、開き直って叫んだ。

「睦実さんの方がひねくれてるのに、言われたくはないんですっ!」

「え」

見ないよりひねくれた楽しみ方をする睦実さんに言われると、それ以上にひねくれてるみたいで嫌なんだ。
ぽかんとして僕を見る睦実さんの視線に耐えられなくなった僕は、視線をよそへと向けて腕を組む。
あぁ情けない自分が恥ずかしい。
って…何ニヤニヤしてるんですか。

「そんな冬樹君が可愛らしいなと思う俺も相当だなってさ」

顔赤くなってるよ、と指摘されてつい逃げ出してしまったけど仕方ないじゃないか。
すぐに抱きとめられちゃったんだから意味はなかったけど!
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