ケロロ短編

□ケロロ 僕達怎麼生最強組
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小学校4年生の時に、UFOキャッチャー
(って言ったら睦実さんに『クレーンって言わない?』と笑われた)
の景品をねだった時以来来たことはなかったゲームセンターは、正直……

「音がうるさいです…」

所狭しと並べられたゲームの音が重なって、僕には辛い。

「まぁ、すぐに慣れるさ」

と笑って言いながら札を両替機で崩す手元が手慣れていて、自分のお小遣いでは通えない僕は

『やっぱり睦実さんは大人だなぁ』

なんてぼんやりと思って。

「ほら」

そんなことを思っていたから、睦実さんからつい細かくなった1000円を普通に受け取ってしまった。

「え、あ」

自分のやる分位は出すのに、と返す間もなく睦実さんは自分の分の1000円を崩しだしてしまって。

「俺のせいで遠く行かないんだからさ、これ位出させてよ」

なんて言われたら返せないじゃないか…。
はぁ、と溜息を吐いて、僕はその100円10枚をとりあえず財布にしまうと、

「行くよ、冬樹君!」

「あ、はい!」

両替を終えたらしい睦実さんが歩きだしていたので、僕は慌てて後を追い掛けた。

「冬樹君ってゲームするの?」
「一応やりますけど、得意じゃないかなぁ」
「ちょっと前より全然種類あるからね、冬樹君向きのもあるよ」

きっとね、と笑う睦実さんに、僕もはい、と返事をして笑う。

それはちょっと楽しみだ。





流石家庭用ゲームを手掛けた事があるだけあって、睦実さんは本当にゲームが上手かった。
姉ちゃんもゲームはよくやっているけどそんなのとは比べ物にならないくらいすごい。
しかも1種類だけじゃなくて、アクションもシューティングも音楽のも強いんだ。
それなのに、

「俺なんかまだまだだよ」

なんだそうだ。

「極めたと思わない限り技なんか無限に広がっていくし、相手次第で対策も変えなきゃいけないし」

絶対最強、みたいなのはないから面白いんだ、って。

うーん、ゲームって深い。

…かくいう僕は全然やりこみがないから当然ダメダメで。
同い年くらいの子でもすごく強い子も居るのに、あまりにふがいなくて悲しくなるよ。

「ま、やってないから仕方ないさ」

やりこめば出来るよ、って言ってくれたけど…
いつのことになるやら。

はぁ……



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