交易品
□6000Hitフリー達
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何故疑問すらもたんのじゃろうな?
ソニック&テイルス
〜仮説:獣の目は節穴である〜
世界征服、そして理想都市エッグマンランド建設を夢見るこのワシ、Dr.エッグマン。
大々的な作戦ばかりをしとるように思われとるワシじゃが、そういう活動をする為にも日々の地道な活動が重要になっておる。
だが、そういう部分で犯罪だ何だと言われては面倒なのでな。
資金元となる会社経営に関しては違法行為をせん事にしとるんじゃ。
それ故、
「邪魔するぞ、テイルス」
「いらっしゃい、エッグマン」
商品の業務提携の為、宿敵ソニックの相棒であるテイルスのラボへ足を運ぶ事もよくある訳じゃな。
こやつの技術力はワシとはやや異なるベクトルに向いてはいるが天才には違いないし、ネームバリューもあるからの。
ちなみに、主にエクストリームギアという空気の力で宙に浮くスポーツ用品で提携しておる。
WGPで準優勝したソニックのメカニックのカスタムじゃ。
馬鹿売れでウハウハじゃい!
「チッ。早く終わらせてとっとと帰れよ」
「ソニック!流石に口悪いよ!」
まぁ、当然ソニックにはいい顔されんがな。
それでも止めんのは、ひとえにソニックの生活旅行費はこうしてテイルスが稼いでいるからに他ならんからじゃ。
天下のソニックも、テイルスにかかればただのヒモという訳じゃな、ホーッホッホ。
ところで、こやつらはいわゆる恋人同士である。
本人達から聞いたわけではないので断言はしきれんが、ワシもこやつらとは大分付き合いが長いからの、恐らくは間違いあるまい。
ソニックがどこに行くにも何をするにも付き従い、あるいは支援するテイルスの態度はわかりやすく、テイルスに向けるソニックの優しさは、他の仲間に向けるそれとは明らかに違うというのが見てとれる。
まぁ、だからといってそれを利用するような形でソニックを倒すつもりはワシにはないし、騒ぎ立てるようなお子様でもない。
ついでに言えば偏見もないから、別にそれ自体は構わんのじゃ。
「テイルス、アレはどこにあるんだ?」
「アレは…ソコにない?」
こんな会話でお互いの意思疎通が出来る段階で、もう夫婦みたいな物じゃからの。
それに、ソニックはテイルスと居ると、他の連中を本当に邪険に扱うんじゃ。
いつだかワシを倒すのを手伝いに来たナックルズに対し、
『いらないよ、じゃあな』
と走り去った事は、又聞きしたワシも流石に呆れたわい。
だがまぁ、それもいい。
付き合おうが邪険にしようが、それ自体は全くかまわん。
だが、ひとつどうしても納得できん事がある。
「早く終わらせろよ、テイルスー…」
「わっ、急に抱きつかないでよ!」
…これだけあからさまなのに、何故こやつらの仲間には関係がバレんのか、という事じゃ。
順に考えてみる事にしよう。
クリームやナックルズは、恐らく恋愛感情という物を理解するほど成長しとらんのじゃろう。
…いつも騙しておいて何じゃが、ナックルズはそろそろ何とかしたほうがいいような気がするわい。
シャドウ、そしてブレイズは、あの通りの性格じゃ。
鈍感なせいで気付いていないというのも、まま有り得ん話ではない。
カオティクスやルージュはソニック達とそうまで距離が近いわけでもないし、オメガやガンマはまずこの感情を理解できんじゃろ。
とすると、気付いていそうなのはエミー位なんじゃが…
あやつはテイルスを牽制するでもなく、ソニックを追い回しておる。
気付いておらんのか気付いた上で相手をしとらんのか…
前者じゃろうな、でなければエミーはソニックを求めてここに毎日来ておる筈じゃ。
全く、どいつもこいつも鈍いったらないわい!
…なんて考えるうちに、険しい顔をしてたんじゃろうな。
「…どうしたの、難しい顔して」
「髭までハゲるぞ、エッグマン」
声をかけられた事に気付き、ワシは顔を前に向ける。
…フム、奴らの中では心情変化に機敏なこやつらだからこそ、互いに影響しあって結ばれたのかもしれんな。
なんぞと思いはしたものの、ソニックの発言が、テイルスの頭に顎を埋めたままの態度と合間って非常に腹立たしい。
「フン、お前らの仲の良さに呆れとるだけじゃい!」
腹いせに言ってやった一言は、
「な、何言って…!」
「ひがむなひがむなエッグマン!」
罪のないテイルスを照れさせた物の、当のソニックに対しては調子付かせるだけに終わってしもうた。
「もう、ソニックー!」
…すまん、テイルス。
ちなみに帰り際に聞いたんじゃが、ソニックはワシが奴らの仲に気付いとると察した上で、隠したいと思っているテイルスにあれだけベタベタしていたんじゃそうな。
「テイルスは泣き顔も可愛いからな」
…こやつ、いい性格しとるわい。