交易品

□6000Hitフリー達
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のんびりとした旅路の中で。


僕らの旅行記
〜閑話休題〜


後少しで次の街が遠目に見えてくるという所で、リオンが足を止めた。
それがあんまり急だったから、俺は何かあったのかとリオンを見たけれど、当のリオンは気だるそうな眼差しを俺に向けてぼやくように口を開く。

「スタン、おなかすいた」

…あのなぁ…

「だからちゃんと朝は食べとけって言ったろ?」

そう、コイツは朝食をまともに食べなかったんだ。
わりと距離の近いジェノス・ハーメンツ間の移動であったから、朝食をとってからジェノスを出る事にしたんだけど、リオンはあまり食欲がないからってさ。

「お前を起こし疲れたんだ」

と苦しい言い訳をするリオンだけど、残念だったな。

「今日はお前より先に起きましたー」

だからその言い訳は通用しないぞ、あまりに珍しい事だってのは一切否定できないけどさ。
何にしても今回は、宿で出されたメニューがお気に召さなくて食べなかったお前が悪い。

「くっ…」

リオンは悔しそうにうめいたけど、まぁそれで空腹がマシになる訳でもないからな。
ぐうぅ、なんて情けない腹の音を聞かされちゃあ、流石にこのまま行くぞなんて言えるほど俺は厳しくない。
仕方ないなー…

「さっき近くに川があったから、魚でも捕まえるか」

本当は急いでハーメンツについちゃった方が普通のご飯は食べられるんだけど、今のリオンを引きずっていくのはちょっと手間だからな。
そうやって仕方なしに譲歩すれば、

「……すまん」

なんて伏せ目がちに言われただけで何でも許せちゃいそうなんだから、俺は手遅れに違いない。

「お前は本当に甘いな」

う、うるさいな!




ところで、魚を捕まえるにしても俺達は釣り具を持っていなかったりする。
何せ釣竿はかさ張るしすぐ壊れるからな。
太い枝で代用しようにもそういう頑丈な枝はとにかく重いから正直微妙だ。
手掴みって手もなくはないんだけど、どうしたって効率が悪い。
ならどうするかって言うと、エナジーブレッドを使ったんだ。
レンズの力を電気に変えて放電する使い捨てアイテムなんだけど、俺は近くに誰もいないのを確認してから、こいつを川に向かって放電した。
そうすると魚達は痺れて浮かび上がって来るから、後はそれをちょっと下流で掬い上げれば大漁!ってね。
いや、そんなには捕らないけど。

「川の流れが緩やかなら、岩に岩をぶつけた衝撃で気絶させられたんだけどねぇ」

だけどこの辺りは流れが急で、衝撃が流れで緩和されちゃうからこの手は使えなかったんだ。
ちょっと勿体無い気はするなと思いつつ、

「まぁ、仕方ないだろう」

なんてリオンにフォローされつつ。
っていや、そもそも原因お前だろ。
とかく俺は丁寧に魚のハラワタを抜いて、塩を振って棒に刺して焚き火にかざしていく。
何の芸もない塩焼きだけど、調理器具も何もない状態なんだから仕方ない。

「十分食べられるがな」

何故か偉そうに感想を言うリオンの表情は満足気で、それは良かったと思う。
確かに取れとれの魚は旨いしね。
でもまぁ、この味の塩辛い事!

「お米欲しくならないか?」

「………なるな」

正直これだけを沢山食べるには、ちょっと塩を振りすぎた。
まぁそれはそれで仕方がないさと俺達は捕った分だけ食べてしまうと、焚き火を踏み消して立ち上がる。
…あ、食べたらちょっと眠くなってきた。

「お前な」

「あはは、嘘うそ!」

そうやって笑いながら、俺達は歩き出す。


さぁ、次の街までもうひと頑張りだ!
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