交易品

□6000Hitフリー達
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宇宙人が異星人を拐う理由は様々である。
調査対象であったり人質であったり、種によっては苗床にされる場合もあってかなり危険だ。
どの場合においても人道的扱いを受けられるとも限らず、命を奪われる可能性だって高い。
だからこそ、

「拐われた冬樹殿を救出に向かうであります!」

「待ってて、冬樹っ…!」

地球人もケロン人も関係なく、皆それぞれが大切に思っている冬樹の救出のため、皆は敵の宇宙船へと殴りこんだ。


ケロロ軍曹
〜惑星ノ姫君〜


それは、なんて事ない休日から始まった。
ケロロに付き合ってガンプラを買いに行っていた冬樹は、

「にしても夏美殿は鬼であります!係でない日に草むしりをさせるとはっ!」

「悪巧みの罰だから仕方ないじゃない」

他愛のない話をしながら道を歩いていたのだが、急にふわりという浮遊感につつまれた。
また何か宇宙人がらみのハプニングかな?
と思いこそすれ、普段の慣れから別段驚きはしなかったのだが、やがて目に見えて体が浮き上がり出すとそう余裕ではいられない。

「ドッゲロォ!?ふ、冬樹殿ーっ!」

浮き上がり出してようやく気付いたケロロが冬樹を浮かさないようにしがみつこうとするも、一度浮き上がり出した冬樹の体は凄い勢いで空へと上がっていく。
アンチバリアを展開しているらしく、周りの人間は誰一人気付かない中、

「ぐ、軍曹ーっ!誰か…睦実さーんっ!」

助けを求めて叫ぶ冬樹は、やがて青空の半端な部分で消えた。
目で見えなくなるには低い位置だ、恐らくはアンチバリアを纏ったUFOがそこにあるんだろう。
ケロロは急ぎ携帯連絡機を軍帽から取り出すと、緊急シグナル用ボタンを叩きつけるように押し込んだ。



ケロロが帰りついた頃には既に、基地には小隊員のみでなく夏美を筆頭とした地球人達も集まっていた。
彼らもおおまかな状況は聞いているのだろう。
切羽詰まった、あるいは殺気に満ちた視線をケロロに向けている。
夏美に至っては黙っていることも出来ず、

「アンタ…」

叫びかかろうとして。

「お前がついてながら何てザマだよっ!」

しかし叫んでケロロに掴みかかったのは、普段誰よりもひょうひょうとしている623だった。
その剣幕に、夏美のみならず皆がケロロを責める事を忘れて立ち尽くしたが、やがてそれどころじゃないと口を開いたドロロによって、結局何も責められず。

「クルル殿、説明を」

急かされて話しだしたクルルの言葉に、皆は耳を傾ける。

「冬樹を拐った連中は、アヴィル星人だ」

アヴィル星人というのはクルル曰く、宇宙の意思だ何だという物を信じ、それに沿って活動する特殊な宇宙人なんだそうで、

「何処の星とも中立を保っている連中ではないか。そんな奴らが日向弟を拐ったと言うのか?」

疑問の声をあげるギロロの声に、クルルは答える。

「宇宙の意思とやらがそうさせたんだろう。俺達が何したとかじゃねェから多分、俺達が居なくても冬樹は拐われただろうな」

それを聞き、623はケロロを放した。

「…悪い」

お前が悪いわけじゃないんだな、と謝る623に、

「いや、我輩がふがいないのもいかんでありますからな」

ケロロはいやいやと首を降り。

「それで、フユキは今何処に居るんだ!」

叫ぶように尋ねるアリサの言葉には、モアが答える。

「現在はポコペンの武蔵市上空、成層圏で停止しています!てゆーか余裕綽々?」

「…?冬樹君を拐ったのにまだ待機しているんですか?」

おかしい、と首を傾げたのは桃華だ。
冬樹を拐う事が目的だったのなら上空待機なぞせず、退星すればいい。
なのに、それをしない。
まだ目的があるのか、何かハプニングがあったのか。
…どちらにしても、あまりボーッとはしていられない。
何せ退星されてしまっては追撃も難しいのだ。

「考えてても仕方ねぇ、助けに行くなら早くするですぅ!」



そうして夜、殴りこんだ彼らは無事に突入を果たした訳であるが、

「早く見つけて助けるわよ!」

意気込む面々とは裏腹に、623やドロロといった参謀タイプは警戒を強めていた。
何せここまで抵抗らしい抵抗は何一つなく、突入も容易だったのだ。
自信家なのか、なにか策があるのか。
何にしても警戒は緩められない…
と、思った矢先。

「623氏っ!」

足元に突如現れた穴の中へ、623は成す術もなく落ちていった。



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