交易品

□召還、平行世界 であります!
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皆さんは、平行世界という物をご存知だろうか。
意味としては読んで字の如く、僕達が常日頃現実として認識している世界に平行して存在するとされる異世界の事だ。
実際に行ったことがある人は居ない筈だし、行ったとしても物証がないから実在するかは不明なんだけどね。
とあるアニメでは魂の行き着く先の全く違った世界だったし、ある小説ではパラレルワールドとして画かれていたぐらいだから創作方面でも統一はなされていない。
ただ、逆に。
それだけ不透明な物だからこそ、人は自由に発想し、可能性を夢見て挑戦するんだ。

そう、丁度今の軍曹のように。

「平行世界の中には、ポコペンを侵略した我輩達だって居る筈であります!彼らに方法を聞けば我輩達だって侵略なんぞ容易いでありますよ!」

…それはつまり自力での侵略を諦めたに等しいんだけど、必死な軍曹には考え至らないらしい。
乗り気でない隊員達(ドロロ欠席)と、楽しそうなクルルを見守りながら、僕は一応阻止しようとしたせいで入れられた牢屋から脱出する方法を考えていた訳なんだけど、

「試作品が出来たぜ隊長、"仮定現実召喚箱(モシモシモシモコノセカイガボックス)"だ、ク〜ックックック」

クルルが開発した機械を見て、平行世界の謎が解けるかもと期待する僕は軍曹と同罪かもしれない。
姉ちゃんが不在だからこその状況だなぁ。
何はともあれ、まるで大きい公衆電話BOXみたいな外見をした機械の、何故か外側についた何故か公衆電話みたいなコンソールを適当にいじったクルルは、

「まだ試作だから上手く行くかはわからねーが、実験してみねーとなぁ」

なんてかなり不穏な事を呟くと、受話器をとって口に近付ける。

「もしも平行世界の人間が1人ここに居たら」

…それが何らかのキーワードなんだろう。
クルルが受話器を置いた途端、機械はうぉんうぉん唸りをあげて動きだし、他の隊員の動揺もおいてけぼりにしたままで、やがて停止した。
プシュー、という音と共に電話BOXの戸が開き、何故か煙が吹き出してくる。
そして、その煙をかきわけて…

「…え……睦実…さん……?」


ケロロ軍曹
〜召喚、平行世界 であります!〜


僕が知るより二回りぐらい小さな睦実さんが、煙にむせながら出てきたんだ。
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