ケロロ短編

□ケロロ 進学?続職?進路選択
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そういう時期なんだなぁ。


ケロロ軍曹
〜進学?続職?進路選択〜



「あれ?」

睦実さんちのテーブルの上に、見慣れない膨らんだ封筒が置いてあるのが目についた。
ひとつやふたつなら仕事関係の何かかとも思うけど、こうも統一感のないカラフルな封筒が沢山あるとどうにも気になる。
好奇心のままに手にとって、表に書かれた文字列をなぞってみれば、どうやらいろんな大学の封筒のようだ。

…何で大学の封筒があるんだろ?
睦実さんはまだ高校生で、大学とは無縁な筈なのになぁ。
なんて事を真剣に考えていたからだろう。
背後に睦実さんが忍び寄っていた事に、睦実さんの伸ばした手が僕の持っていた封筒を奪うまで気付かなかったのは。

「ふーゆっき君!」

「うひゃあ!」

封筒を取られた瞬間急に声までかけられて、驚いた僕は情けない声を出してしまった。
反射的に退こうとした体は、既に後ろから抱き締められていて動かない。
でもまぁ、別に睦実さんから離れたい訳ではないからいいか。
僕の前に回した手で封筒を開けながら、

「これは入試資料とか願書とかが入ってるんだよ」

別に開けてもよかったのに、なんて睦実さんは言ったけれど、そこは親しき中にも礼儀って物があるから。

「勝手に部屋をあさったりしませんよ、睦実さんじゃあるまいし」

皮肉をこめて笑えば、睦実さんはひどいなぁと苦笑いながら僕から離れた。



やけにしっかり作られた大学の資料冊子を見て最初に思ったのは、

「…そうか、睦実さんって一応高校3年でしたっけ」

「そこ?」

睦実さんは困ったように笑うけど、これに関しては普段学校関係の事を匂わせない睦実さんに非があると思う。
頭ではわかってたんだけどね、どうしても学生ってイメージじゃないんだよ。
…ともかく今、睦実さんは高校3年生。
高校卒業が間近にあるから、それからの進路を選ばなきゃいけない。

「選択肢は広い方がいいかと思ってね」

だからセンター試験も受けたし、こうして資料も集めたんだ。
そう言う睦実さんは、らしくないけどさと苦笑う。
私立中学に通ってはいても、まだ中学1年の僕にはセンター試験がどういう物かはわからない。
けれど、試験嫌いな睦実さんが試験を受けたってだけでも何となく、らしくない事は予想が出来た。
それで少し心配になったけれど、でもさぁと苦笑う睦実さんの表情に鬱な感じはなくて。

「やっぱり楽しそうじゃないんだよなぁ、大学って。今の仕事続けた方が楽しそうだし」

そんな理由で尻込みするのは、結局いつもの睦実さんだ。
しょうもない理由だななんて呆れながらも、睦実さんがいつもの通りでよかったと安心してしまう僕は甘いんだろうか。
…甘いんだろうな。
それに、恥知らずだ。

「冬樹君はどう思う?大学行った方がいいかなぁ」

という質問に、大学に行った方が今後安定すると思いながらも

「睦実さんの好きにしていいと思いますよ」

と答えてしまう程には甘くて、

「でも……僕と会う時間が減るのは、嫌ですからね」

なんて言えてしまうくらいには恥知らずで。
ついでに言うならその恥知らずな発言に舞い上がった睦実さんの

「大丈夫じゃない?冬樹君の進路は俺に永久就職で決まりだろ?」

なんて恥ずかしい言葉が本気で嬉しいくらいには、僕は睦実さんが大好きみたいだ。



→おまけ・年齢考察
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