ケロロ短編

□ケロロ 常時接続
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ずっと繋がってる証拠になるよ。


ケロロ軍曹
〜常時接続〜



「…お邪魔します」

らしくなくかしこまって、冬樹君の部屋に入った。
部屋の主はそう緊張しなくても、というように困った笑顔を浮かべているけど、こればっかりはまだ無理だ。
冬樹君の部屋って、実はあまり入ったことがないんだよね。
…いや、冬樹君が入れてくれない訳じゃなくて。
冬樹君の部屋って事は、当然日向家だ。
って事は、いつケロロや夏美ちゃんが来るかわからないだろ?
なのに俺ってヤツは、2人きりだと抱き締めたくなるから…自重してるんだよ。
見つかったら言い訳できないだろ?
そうなったら俺はともかく、冬樹君が多大な迷惑を被る。
だから、ついでにちょっと寄ってみたりって時位しか冬樹君の部屋には行かないモンで、未だ慣れないんだ。

…正直ちょっと悔しいんだよな。
冬樹君は俺んちの間取りどころか何処に何があるかすら俺より詳しいのに、俺は冬樹君の部屋の内装だって曖昧でさ。
冬樹君に想い負けてる気がするじゃん?
だから今日は、近くに来たついでに思い切って寄ってみた訳。

…思い切らなきゃ寄れないあたり、俺って余程情けないような気がする。


冬樹君にちょっとしたお土産(お菓子ね)を渡しながら、俺は部屋の中を見渡した。
ここんちの人達は基本片付けが苦手で、ご多分に漏れずこの部屋も隅の方がちょっとごちゃっとしている。
でも、よく物が動くスペースはスッキリしてるから煮詰まった時の俺よりはマシか。
ポスターみたいな物は基本貼っていなくて、机と本棚、それぞれにMacと本が置かれていて、後はベッドがあるっきり。
…案外何もない部屋だとは思ったけど、考えてみれば共有スペースが他に沢山ある一軒家だもんな。
あえてここに生活臭を持ち込む必要はないのか。

「カレンダーくらいは欲しいんですけどね」

でも結局パソコンで済ませちゃって、と笑う冬樹君はそのまま立って部屋を出る。
お菓子も持っていってくれたから、多分お茶なんか入れてきてくれるんだろう。
ベッドに腰かけた俺は…フと、思い付いた。

男ってさ…エロ本とかベッドの下に隠すモンなんだよ。
あるいは押し入れとか、普通は自分しか手を入れない目の届く場所に置いとくモンなのさ。
俺だってそうだったし、冬樹君だって男だ。
失礼ながらあまり持ってそうなイメージはないけれど…
持ってたっておかしくはないよな。
…ん?R指定?
そんなのあって無いようなモンだぞ?
最近はネットで簡単に落とせちまうしな。
ってあぁ、しまったな。
PC保存だったらどうしようもないや。
なんて考えながらも、俺は冬樹君のベッドの下を覗き込んでみた。
悪いとは思ったけど仕方ない。
……いや仕方なくはないけど、好奇心が何より勝っちまったんだからやっぱり仕方ない。
抱きつきたい衝動を押さえてたのから一時的にでも解放されて綻んだのかもな。
うは、タチ悪ぃや。
しかし手を突っ込んでみても、本らしい感触はない。
やっぱりPC保存なのか?
いやでもあまり埃っぽくないから、少なくとも最近物の出し入れがあったと思うんだけど…
掃除した直後でしたとかだったら泣くに泣けないな。
と。

「ん?」

手が何かに触れた。
この感触は…本じゃないけど、紙みたいだな。
俺はそれの端をつまむと…
どうかゴキブリホイホイの類じゃありませんように!
なんて祈りながら、スッと引き抜く。


「……え?」


ソレは、思わず固まってしまうほどに予想外の物だった。



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