ケロロ短編

□ケロロ 悲運!?睦実対冬樹!
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俺は芸能人だけど、一応健全なマニアック高校生でもある。
だからゲーセンで知り合ったヤツなんかとどうでもいい話をする時もあって、この日もいわゆる濃いゲーマー達と話していた。
内容はいわゆる萌え…いや、燃えシチュ談義って言うのかな?
談義ってもリーマンのおじさんが

「愛する人と実は敵同士だった、なんてよくねぇ?」

なんて熱弁をふるいだしたのを皆して聞いていただけなんだけどね。
ただ、ダイモスとか愛をテーマにしたアニメなんかでは時々ある演出だし、確かに見ていて盛り上がる。

だからって623の顔を張り付けながらもわかるわかると内心頷いていたあの時の俺。
とりあえず今の俺と冬樹君に土下座して謝ってくれないかな?


ケロロ軍曹〜悲運!?睦実対冬樹!〜


事の発端は、先日発売したHGUCのザクマインレイヤーの最後の1つを、ケロロの目の前で俺が購入したことにあるそうだ。
ザクマインレイヤーなんてマイナー機体だから、そもそも仕入れが少ないし再入荷も怪しい。
あまり多くの店を知らないケロロの知る店では、全部売り切れていたというのも手伝って、

『ぅおにょれ我が宿敵623めっ!絶対に許さんであります!』

なんてプンスカ怒っていたそうだ。

…逆恨みだよと思うんだけど、同じモデラーとしては悔しい気持ちもわかるんだよな。
アイツはあの独特な外見だから、冬樹君あたりがついて行かないと買えないし。
だから、見掛けたら買っといてやってケロロに売りつけてやろう(無論定価だ)、なんて事も考えていたんだけど…
そうする前に日向家地下にあるケロロの秘密(笑)基地に呼び出された俺は、

「ゲロゲロゲロゲロ、よく来たでありますな、我が宿敵623っ!」

薄暗く何もない部屋の真ん中にある、箱状の黒い高い場所から見下ろすケロロを見上げていた。
買えなかった恨みを晴らすため雪辱戦を挑む気なんだろう。
でも、一人しか居ない所を見ると……

「他の仲間には協力してもらえなかったみたいだね」

「う…うるちゃいでありますっ!」

否定しない所を見るとやっぱりそうらしい。
まぁ、どう考えても私怨だからなぁ。
皆には呆れられて、ギロロにはキレられたに違いない。
まぁ、それでもケロロを止めなかったのは、俺相手にそうまでする義理がなかったからなんだろうけど。
まぁいいさ。

「…それで、たったひとりで俺をどうするって?」

ニヤリと笑って、紙とクルルペンを構えて俺は言った。
ケロロひとり位なら俺でもどうにでもなる。
早いところ片付けて、ここまで来たんだから冬樹君に会いたいなぁ何て考えていたら、

「誰がひとりだと言ったでありますか」

というケロロの背後の闇から、スッと歩み出たのは……

「………え!?」

今しがた会いたいと望んだ、冬樹君だった。



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