短編ごちゃごちゃ
□ソニック それの為ならどこまでも
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好物だからな、それ。
ソニック&テイルス
〜それの為ならどこまでも〜
ダークガイアなんていう化け物との戦いも、今じゃあ少し前の事。
一時はバラバラになっていた地球もすっかり元に戻り、世界の人々は何事もなかったように普通の日常を送っていたりする。
…今回はあまり破壊みたいな被害がなかったとはいえ、いくらなんでも切り替え早すぎやしないか?
とは思ったんだが、そういや問題真っ只中でもみんなあんまり変わらない生活してたんだったな。
全く、誰も彼も図太いったらないぜ。
当然俺の身の周りの連中も、変わった事は特にない。
エミーは相変わらずだし、ナッコーズはエッグマンに騙されておとなしくしてたらしいし。
ブレイズの方は似たような事が起きたらしいけど、シャドウとクリームで協力して何とかしたらしいしな。
今じゃあやっぱりこっちと同じくなんて事ないそうだ。
ただ、それでもこっちが全く変わらなかった訳じゃあない。
実はテイルスが、以前よりもアクティブになったんだ。
「それが今の状況と何の関係があるんだ」
聞いてきたのは、未来から来たというハリネズミ、シルバーだ。
ちなみに今の状況ってのは、ミスティックルーインの海岸線にあるテイルスのうちの玄関の前で、俺が座り込んでいるってモンなんだが…
それを遊びにきたらしいシルバーに見つかって、状況を説明してたって訳だ。
どうもシルバーは理解出来なかったらしいけどな。
「いや、その説明はわからないだろ」
No,way.わっかんないヤツだな。
俺の旅の起点であり帰る場所は、テイルスんちになっている。
だから旅が終わる度、俺はここに帰ってくるんだ。
今までは、いつ帰ってもテイルスはうちに居た。
だけど最近は居ない事が増えて、こうして締め出されるようになっちまったんだ。
「つまりテイルスがアクティブになって出かけちまうから、俺もこうして待たなきゃならないって訳さ」
そこまで説明してやっと納得したか、シルバーは成程なと頷いて。
「…しかし何故アクティブになったんだ」
なんて誰しも気にするだろう事を聞かれたので、俺は空を指差してやる。
「本人に聞きな」
自分で差した指の先には、猛烈な勢いで飛んでくる赤い機影が見えていた。
トルネードの副座の部分にくくりつけられたダンボール箱。
テイルスのアクティブさの原因であるコレの中身は、
「……ミントキャンディ?」
シルバーの呟き通り、ただのミントキャンディだったりする。
「いやぁ、僕これ大好物なんだよー」
照れたように笑いながら言うテイルスだが、ミントキャンディを扱う手先は丁寧だ。
ま、無理もないさ。
「テイルスはコレを仕入れるために海外まで行ってるんだからな」
「…こんな物、すぐ近くにもありそうな物だが…」
目を丸くしたシルバーはそう漏らしたが、そうはいかない理由がある。
実はコレ、今ECだと取り扱ってないんだ。
売り上げが不振とかで企業が撤退したとかでな。
テイルスも泣き寝入りしてたんだが、先の冒険で他の国の店頭に並んでるのを見つけて。
「それ以来、時々買い付けに行ってるんだよ」
今じゃあお得意様でさぁなんてニコニコするテイルスを見て、シルバーは何だか微妙な表情で呆れたようだったが、とりあえず最初の話だった俺の待ち惚けの理由は理解したようで、
「気の毒だな、ソニック」
…何故か同情された。
いや、急に帰る俺が全面的に悪いんだが。
と説明する間もなく直訴に行ったシルバーに2、3言言われたテイルスは、完全に呆れきった声で俺の名前を口にしてから、
「待ち惚けになるだろうから、カギはポストに入れとくよって言わなかったっけ?」
「…………あ」
これからはカギを首から下げてもらうしかないかなぁなんて比較的真剣に言われた俺は、頭を地面に擦り付けざるを得なくなっちまった。
…笑うな、シルバー。