僕らの旅行記

□刃二振り持つ英雄、だコロン!
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更に説明しておかねばなるまい。
ハイデルベルグとはセインガルドの南に位置し、年中雪に閉ざされた国ファンダリアの首都である。
そしてそこにある王城の玉座に座るのが、かつてスタン達と旅をした仲間、ウッドロウ・ケルヴィン。

今回スタン達がここに来たのも、彼が呼びだしたからである。

「よく来てくれた、君達」

昔から着ていた鎧を纏ったウッドロウに出迎えられたスタン達が犬雪車にひかれ連れてこられたのは、ハイデルベルグのやや南にある遺跡であった。
先を歩くスタンに、リオンはこっそり耳打ちする。

「…ここは地上軍の基地だった場所だ」

どうやら、パラレルワールドで行った過去に、ここがあったみたいだね。
リオンが詳しく知ってるなんて想像もせず、

「千年前の…天地戦争時代の物だと言われていて、各国で調査しているんだよ」

と説明するウッドロウの先導に従い、地下に続く階段を降りるスタン達。
ついた小部屋には、何やら箱に積められた掌サイズの大砲みたいなのが沢山あった。

「これは?」

尋ねるスタンに、ウッドロウはうむ、と頷いてからひとつを手にとると…

ばちゅーん、という音と同時にスタンの髪がひとふさ落ちた。

「……は」

いきなりで反応できないスタンと、

「お前何をっ!!」

ウッドロウに食ってかかろうとするリオンをなだめたウッドロウは、

「これは小さなレンズ砲…レンズの力を飛び道具にする武器なのだ」

と説明すると、次に行こうかと促した。

「怒る気も失せるな……」

「…髪が…」

各々呟きながら続く2人。
その後ろに……何やら怪しい人影3つ。
誰も気付いていないようだけど、今更隠す必要もないね。

書くまでもなく、漆黒の翼の3人だ。

彼らは今までチャンスを伺い隠れていたみたいだけど、さっきのウッドロウの話を聞いちゃったみたいだ。

「…聞いたか?レンズの飛び道具だそうだ」

「聞いたでヤンス」

「アレがあれば、スタンを倒せるかもね…」

そこまで話して、3人はニヤリと悪い笑みを向けあった。

「よし、アレを全部かっぱらうぞ!」

『はいやりょーかい!』

どこの悪党なんだか。



…しばらくして。
スタン達は、地上に戻ってきていた。
謎の機械イクシフォスラーとか見るものはいろいろあったけど、どれもまだ調査中。
ウッドロウがスタン達にこれを見せたのは、今のスタン達がある意味でどこの国にも属さないから公正を期すために、だとか。

…それよりも…

今問題なのは、小型レンズ砲がなくなっていた事である。
どこかに持ち出された跡はあったけど、犯人は見付からない。
どうしよう、と頭を抱えたところで…

「決着をつけるぞ、スタン・エルロン!」

小型レンズ砲を持ったグリッドの姿が小さい雪山の上から現れたのは、丁度この瞬間であった!



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