僕らの旅行記
□刃二振り持つ英雄、だコロン!
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遅巻きながら、ここで漆黒の翼について説明しておかねばなるまい。
漆黒の翼とは伝説の英雄レンズハンター…
などではなく、単に口先だけの思い込みが激しいレンズハンターである。
メンバーは、誇大妄想で英雄だ何だと騒ぐグリッド、それに心酔してしまっているジョンとミリー。
腕っ節はからっきしで、子どもでも倒せるナメクジ型モンスターに負けたこともある。
かつての争乱の際には各地を武勇伝を作るために回り、ことごとく失敗。
最後には外殻大地を壊そうと高い山から梯を伸ばしたけどやっぱり失敗。
だけどグリッドが梯から落ちた途端に外殻大地が壊れたから、彼らは自分達が世界を救った英雄だと勘違いしているんだ。
それだけならまだしも、自分達が英雄と呼ばれないのはスタンのせいだと勝手に恨んで襲撃までしている。
本当に迷惑な話だね。
そんな彼らの襲撃は、それからもしつこく執拗に続いた。
ある時は川の中から。
「見つけたぞスタン・エルロン!」
「うわっ!?」
ある時は雪の中から。
「こここここで会ったが100年目!でヤンス!」
「寒そうだな…」
ある時はグリズリーに追われていた。
「助けてえぇぇぇぇ………」
「…………」
しつこい上にタフだから相手をするのは大変で、何度倒しても少しすれば先回りして待ち構えている。
本来襲われる言われがない上に、昼夜問わない襲撃。
いよいよ本気で怒ったリオンによって、彼らは雪降る湖の畔にある、昔スタンが使った壊れた救命ポットに閉じ込められてしまった。
それからは流石に襲撃もなく、順調な歩みを進めるスタン達の目の前に、ついに見覚えのあるハイデルベルグの城下街へ入る門が姿を表したのである。
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