無双の間

□【コヒビトたちの朝昼晩。】
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「耳そうじ」(甘凌)



テレビを観ている凌統の膝の上に、いきなり甘寧が頭を載せてきた。

「何?…重いっつの」

「耳掻きしてくれよ」

「絶対イヤ。つか何言い出すのアンタ、子供か」

凌統は呆れて甘寧の額を指で弾いた。

「んだよ、いーだろー?やってくれよ」

「ヤダよ。俺そういうの苦手なんだって…」


他人の耳掃除など、もし怪我をさせたら…と考えてしまうから嫌だ。

凌統に断固拒否されつまらなそうな顔をしていた甘寧だが、不意にニヤリと笑う。

「じゃ、店に行ってやって貰うかなァ」

「…店?」

訝しげな顔をする凌統。

「色っぽいねーちゃんが膝枕で耳掻きしてくれる店があるんだとよ。会社の連中が話してたぜ」

「馬っっっっっ…鹿じゃないの」

凌統は軽蔑も露に甘寧を見下ろした。

「そんなんに金払うとかさあ…阿呆らしいと思わないの?」

「思うから、俺はオメーに頼んでんじゃねえか。知らねえ女よりオメーのがイイしよ」

「………」

一瞬、甘寧の言葉にどうリアクションするべきか判断しかねた凌統は困惑げに眉を寄せた。

その眉間のシワを、甘寧が指先で優しくなぞる。

「なあ。してくれよ」

「…仕方ないねぇ…」

凌統は良いこと思いついた…と唇の端を上げる。

「店でして貰うのと同じだけ俺に金払うんなら、やったげても良いけど」

「お〜し乗った!」

凌統の予想外にあっさり甘寧はその条件を飲む。

「は!?マジ…?」

目を丸くする凌統の前で甘寧はポケットから財布を引っ張り出す。

「そん代わり、オメー下脱いで脚出せよ」

「はあ!?何で…」

「店なら生脚で膝枕してくれんだぜ?同じ金取るなら、同じだけサービスしてくれなきゃな〜」

「ぐっ…う〜」

墓穴を掘ったことに気づくも、自分から言い出した手前引き返せない。

「…絶対払えよッ」

甘寧に強く念を押して、凌統は履いていたルームパンツを渋々脱いだ。

「おう、払う払う」

軽く答えながら、甘寧は剥き出しになった凌統の脚を早速撫で回し、内股の柔らかな部分を食む。

「ちょ、何すんっ…」

「これもサービスの内ってことで♪」

「ざけんな、離せっ」

「ほら笑顔笑顔。接客の基本だろ?」

甘寧は調子づいて、更に手を奥へ奥へ進める。

「んや…止めろったら!耳掻き出来ないだろ!?」

「ん〜言わなかったか?その店の耳掻きはあくまでオプション。メインはまた別なんだぜ?」

「はあっ!?聞いてないしアンタ絶対わざと言ってないし!そこのメインって何なんだよ!?」

「それをこれから教えてやんだよ。実践でな☆」

ニヤリと笑った甘寧に、凌統は果てしなく不吉な予感を覚える。

「そんなの教えてくんなくて結構だっつの〜!」



―その後、甘寧が凌統に何をさせたかは…秘密。





End.
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