無双の間
□【コヒビトたちの春夏秋冬。】
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コヒビトたちの聖夜
12月25日、夜。
「りょぉ〜と〜っ♪」
「うわっ!?」
寝ていた凌統の上にいきなりのし掛かって来たのは、サンタクロース…の扮装をした甘寧。
「ちょ、何て格好してんのアンタ!?つうか酒くさっ!」
「でっへへ〜忘年会のビンゴで当たっちまってよ〜」
「だからって着て帰ることないだろ!まさかそのカッコで電車乗ったのか!?」
「オッサンが送ってくれた〜」
「っとにアンタは…」
「ンだよ、い〜だろ?お前のサンタさんが来てやったんだぜ〜」
言いながらさわさわと凌統の尻を撫でる甘寧。
「ん、触んな馬鹿ッ…どこの世界に寝込みを襲うサンタがいるんだよ!?」
「いいじゃねーか〜俺がプレゼントっ☆てことで!」
「キモいんだよボケ…って、んっ!」
甘寧の手がシャツを捲り上げ、胸の突起を強く摘んだ。
「痛っ…!手加減しろよっ!」
「は…痛いのがイイんだろ?」
爪を立てて捻られ、グリグリと指の腹で押し潰される。
その度に走る電流のような痛みと快楽に凌統は身を捩った。
「俺はMじゃねぇ、っての…っ、あふ……はぁ、ん…」
甘寧の舌が唇を割って侵入し凌統の舌を絡めとる。酒の匂いが口に広がり、それだけで酔ったように躯が熱くなる。
「…かんね…」
凌統は甘寧の背に腕を回した。
(明日早出なんだけど…イイや…)
甘寧も凌統に覆い被さり、白い首筋に顔を埋めて―…
「…ぐー……」
「………おい…」
まさかと思いながら凌統は甘寧の耳元に口を寄せる。
「…甘寧?」
「んが…ぐ〜…」
寝 て い た。
「…っの…ボケェ!」
耳元で大声を上げても力いっぱい揺すぶっても枕で叩いても甘寧が目を開ける事は無かった…。
(あ〜腹立つ、甘寧の大馬鹿野郎っ!俺が寝られなくなっちゃったじゃないか!)
苦労して上に乗っていた甘寧の躯を押し退けた凌統は冷蔵庫から取り出した水を飲み干した。
中途半端に煽られたのと甘寧への怒りですっかり目が冴えてしまった。
「馬鹿。馬鹿。何百回言っても足りないぐらい馬鹿野郎」
ブツブツ文句を言いながら足先で甘寧の横腹を突つく。
その時ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。