ぷち連載
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入ってはすり抜けていく英単語。
集中しようと思っても出来ない授業。
「―――ぃ、丸井!」
「…。」
「……ま−る−い!」
「あ?」
「何ボ−っとしてる。今、何の授業だか分かってるのか?」
「何って…英語だろぃ?」
「あぁ、その通りだ。
しかしお前の机の上には国語の教科書が出ているんだが…やる気がないと見ていいんだな?」
「あ…。」
「あ…。じゃないだろう!
しばらく廊下に立ってろ。」
やっちまった…って今更後悔しても遅ぇ。
無言で席を立ち、教室のドアを開けた。
2 【俺と彼女と見知らぬ女】
廊下に出ても頭を過るのは彼女のことばかり。
忘れようと思って他のこと考えるんだけど…
いくら考えても出てくるのは彼女の笑顔。
「…俺ってこんなに情けなかったっけか。」
いつからこんなに本気になってた?
親友の彼女だぜぃ?
奪っていい訳がない…けど、こんなに夢中になるのは初めてだった。
「―――――ストに出るぞっ!」
遠くで聞こえる先生の声。
俺、廊下に立たされて情けねぇな。
こんな時ばっかりは、彼女と同じクラスじゃなくて良かったってずるいこと考える俺がいる。
こんな情けない姿見られたくねぇし…。
ガラッ
「―――ったく、どいつもこいつも気ぃ抜きすぎだぞ!」
「…仁、王?」
「ボ−っとしとったら先生に注意されてしまってのぅ。」
「…ははっ、だっせぇ。」
「それはブン太だってそうじゃろう。」
親友にまでこんなことさせちまってる俺はもっとだせぇな。
仁王の何倍もだせぇ。
「…心配してくれてんだろぃ?」
「何のことじゃ?」
「またまた。とぼけなくても分かってるっての。」
「…そりゃ、愛しのブンちゃんがボ−っとしとったら気になってしょうがないやろう。」
「…。」
「あんまり…無理することなかよ。」
「…。」
「あいつには俺から言っ「いや、大丈夫。心配掛けて悪かったな。」
行くって決めたんだ。
仁王の邪魔はしたくねぇし…彼女には幸せになってもらいたい。
いつまでもこの関係を続けてたい。
そう思ってたのは俺だろぃ?
その幸せを俺がぶち壊してどうする。
「それより仁王はあの子を幸せにすることだけ考えてりゃ−いいんだよぃ!」
「…そうか。」
「おう!俺も早く彼女作らねぇとなっ。
いつまでも1人って寂しいしよ。」
「…いい奴がおるといいのぅ。」
「…あぁ。今日会う子がいい子だといいな−…。」
どうか彼女に似ていませんように。
どうか彼女と正反対の性格でありますように。
それから……早く彼女の事、忘れられますように。