ぷち連載
□15
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15歳の夏
まだ幼かった俺達は
傷付け合うことしか出来なかった。
正しかったのか、間違えだったのかなんて
誰にもわかんない。
ただ、みんな思いは一緒だったんだ。
1 【俺と彼と彼女と】
キミは校内一の美人。
誰もが憧れるような容姿の持ち主で、人当たりも良く男女問わず好かれてた。
俺ももちろんその中の一人。
でも、俺の場合likeじゃなくてloveの方だ。
出来れば友達ってポジションじゃなく、恋人ってポジションに就きたいところだが
神様は奴は時に冷たく、時に酷い。
「雅、お弁当持ってきたよ。」
「いつもすまんのぅ。」
「自分の作るついでだから。」
「そうか…よしよし。」
「もぉ−、せっかくセットしてきたのに…。」
「お前さんはどんな髪型でもかわえぇよ。」
俺の就きたいポジションにいるのは同じクラスで同じテニス部の仁王雅治。
よりによって俺の友達なんだよぃ!
って何度も思ったさ。
だって、全く知らない奴なら奪えたかもしれねぇのに。
校内一格好いいって言われてる仁王に俺が勝てる訳ねぇだろぃ?
……え?
何時になく自信ないって?
そりゃそうだろぃ。
ずっと彼女を見てきたんだぜ?
誰を見てるか、なんて嫌でもわかっちまうだろぃ。
「ブン太、さっきからボ−っとしちょるけど大丈夫か?」
「あ…あぁ、大丈夫だぜぃ!
にしても、腹減った〜。」
「じゃあコレ食べる?」
彼女が差し出したのは俺の大好きなグリ−ンアップル味のガム。
こういう小さい気遣いが嬉しかったりするんだけどよ〜…。
優しくされたりすると、つい期待しちまうっていうか。
諦めようって思っても、諦めらんなくなると思わねぇ?
「いらない?」
「…いや、有り難く貰っておくぜぃ。サンキュ−な!」
「どういたしまして。」
綺麗に笑う彼女に、俺の心臓は鼓動を速める。
…なんて素直な心臓なんだ。
これで、顔まで赤くなってたら勘の鋭い仁王にバレちま――「何顔赤らめとるんじゃ?」ったかもしんねぇ−…!
「え、あ−っと…きょ、今日暑くねぇか?」
「…そうかのぅ?」
「あ、あちぃよ!きっと30度は越えてるぜぃ?」
「ぷっ…。」
「…何笑ってんだよぃ。」
「ごめ…、だって、ブンちゃん…っ、可笑しいんだも、ん。」
「だからってそんなに笑うことねぇじゃんか!」
「…――っかしい、まだ春なのに30度越えてるなんて変なこと言うから。」
「ブン太、動揺しすぎナリ。」
「んだよ、このドエスカップル!」
こうやって三人でふざけるのもすげぇ楽しくて
今のままの関係でもいいや!って、思えてる自分がいる。
大事な友達がいて
好きな奴が幸せそうで
幸せそうな彼女を見てる俺もどっか幸せで。
それってすげぇいい関係っていうか
幸せなことなんじゃねぇかなって思う。
二人がうまくいってれば…
彼女が幸せならそれでいいって思ってたんだ。