Boys Love

□雨音とともに
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「よォ・・・」

目の前にはよく知った顔

とても久しぶりなのに

まるで昨日会ったかのよう

それだけこの男の顔は自分の頭に張り付いている

・・・少し悔しい

と桂は思った

「久しぶりじゃねぇか」

「なにをしておる 貴様」

こんな土砂降りの中

高杉は傘もささず

その派手な着物を濡らしている

布に覆われていないほうの目は

前にも増して濁っている気がする

「ククク・・・」

喉の底からのこの独特の笑い方も相変わらずだなぁ・・・なんて

「散歩」

「傘もささずにか」

「いいだろぉ たまには濡れるってのも」

「馬鹿か 貴様は」

・・・ん?

雨の匂いに混じって・・・微かに

微かに血の香りがする

間違えるはずない

この気持ちの悪い匂い・・・

まさか・・・っ

「高杉っ 貴様・・・」

傘を捨てて奴のもとへ駆け寄る

肩を掴むと

手にべっとりと赤いものがついた

「ククク・・・鼻だけはいいようだなぁ」

「・・・っ 来い!!」

桂は高杉の手を掴んで

今の隠れ家である空き家へ向かった










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