Boys Love

□野良猫
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野良猫













雨の日だった

「ん?」

高杉は壁の後ろに人の足が見えた気がした

絶対誰も来ないような廃校舎の裏

煙草を吸うために来た

誰にもばれないようにここに来たのに

人がいてもらっちゃ困る

そう思って

高杉は足が見える壁の窪みへと進んだ

「わーぉ」

感情のこもってない棒読みだが思わず声が出た

そこには

一人の女の子が倒れていた

制服はこの学校のもの

体中痣だらけ

頭からは血が雨水と一緒に流れている

「・・・桂?」

その女の子は高杉と同じクラスの桂だった

「でもコイツ こんな髪短かかったっけ?」

高杉の記憶にある桂の髪は

驚くほどまっすぐでさらさらの

綺麗な黒の長いものだった

なのにここに倒れている桂は

ばさばさでまったく長さの整えられてない髪だった

綺麗な黒だけが前と変わらない

「・・・イジメ?」

誰が見たってわかる

コイツ真面目だかんなーなんて高杉は思いながら

彼女の顔を覗き込むようにしゃがんだ

「・・・なげー睫毛」

思わず呟いてしまった

このままにしといたら死んでしまいそうなので

高杉はとりあえず桂を起こそうとした

「おーい 桂ぁ 桂さーん」

ゆさゆさと身体を揺すってみるが反応はない

それどころか身体が驚くほど冷たい

「・・・チィ」

高杉は舌打ちをすると桂を肩にひょいと乗せて

廃校舎へ入っていった












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