もう一つのオレンジ
□壱〇 旅立ちの日
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旅立ちは
成長と
喪失
旅立ちの日
ガララ・・・
自分の部屋にある唯一窓を開ける
生温い風の進入
浦原が今日の午前1時
窓を開けて待っていろと言った
とりあえず従ってみる
窓の外は静かな住宅地の夜
その景色を眺めていると
ヒュン・・・
不意に何かが顔をかすめて飛んできて
ドチャァァ
背後の壁にぶつかる
振り返ると
それは赤黒く血を広げたように
壁を染めていた
「・・・なに・・・コレ」
どろりとその赤が垂れる
するとその奥から文字が浮かび上がってきた
『これからすぐに(浦原)商店前に集合』
・・・どーすんだコレ
こんなのまるで血文字じゃねーか
ダイイングメッセ−ジ
殺人現場じゃねーか
ずるずるとまだ赤は垂れる
「・・・ん?」
『PS.今これを見て
ダイイングメッセージみたいとか
ありきたりな事を思った人は』
ずるずる・・・
『ツッコミの才能がないです』
「・・・・・・・」
どうしよう
この
なんとも言えない
何かを失った感情は